第10話 天野さんのことを思う

隣の目覚まし時計は午後九時と表示されていた。

俺はある友達に電話を掛ける。

二十秒ほどするとその人物は出てくれた。

「Hey my brotherどうしたんだい」

「もしもし岩田?話があるんだけど?」

「どうしたんだ?緑川」

俺はベッドに仰向けに寝転びながら相談をする。

そして俺は相談内容を口にする。


「俺、もしかしたら天野さんのこと好きかもしれない」


俺の相談内容を聞いた岩田は二十秒ほど無言で、そしてやっと口を開く。

「それでどうしたいの?」

「いや、告白とか早めにしたほうがいいんじゃないかなぁって思って相談した」

「まだいいんじゃない?三年生とかになってからとかでもいいんじゃない?」

「そうかなぁ、でも三年生とかになったらいろいろ進路も考えないといけないし、遊べるのも二年生とかまでかなぁって思って」

「そんな焦らなくてもいいって、絆みたいなものを深め合ってからでもいいんじゃないか?」

「そうかなぁ」

「そうだよきっと」

「まぁそれもそっか、ありがと岩田」

「礼には及ばないぜ my brother」

その後、通話が切れ、ぴーぴーと音が鳴る。

俺は枕の横にスマホを置き、天野さんのことを考える。

そして思い出したのは、ゲーセンの帰りで天野さんと手を握ったことだった。

そしてそれを思い出すと、ドキドキしてくる。

俺はその夜、どうやって告白しようかと考えたりして、なかなか眠りにつけなかった。


日曜日、太陽が窓から俺を照らして、俺は起きた。

枕元に置いてあるスマホを見ると午前十時と表示されていた。

結構遅い時間に起きたなぁと思って起き上がろうとするが、起き上がる気力が湧いてこない。

そしてベッドでごろごろとスマホをいじる。

俺は俺、天野さん、岩田、海野のグループのSNSを見ると

【鹿かわいいな】

【超かわいかった】

【可愛かったな】

【次は四人で行きたいわね】

【俺も行きてぇ】

と三人で会話していた。いつもながら読みしながら閉じるのだが今日は違った。

なぜか天野さんのメッセージを目で探してしまう。

なぜかと考えたが結論はすぐたどり着いた。

「やっぱ恋してるだな」

と小さく呟き、そして瞼をもう一回降ろした。


後日、大半の日は来てほしくないであろう月曜日が来た。

俺はいつもより少し早く起き、行く準備を開始する。

そして学校に向かった。


いつもの道を通って学校に向かう。その道の途中にはコンビニやスーパーマーケット、たい焼き屋や花屋など様々ある。俺はそんな光景を見ることなく、速足で学校に向かうといつもより八分ほど学校に早く到着する。

俺は靴を下駄箱に入れ、二回に向かうために階段を上っていく。

そして階段の途中にある壁にとりつけてあるコルクボードには様々な部活紹介の紙がいまだに貼られている。

野球部、サッカー部、テニス部、美術部など様々な部活があり、そして一番右には可愛いらしいイラストの女の子が手招きをしている。

そしてその女の子の上には文芸部と書いてあり、そして左下には活動内容が書かれていた。

小説を書いたり、編み物をしたりするらしいがほとんど小説を書くのがメインらしい。

俺は一分ほどその張り紙を眺め、そして階段を上って自分のクラスを目指していく。

そして教室につき、天野さんの席を見ると、もう天野さんは着席していた。

俺は天野さんのほうに近づき、そして声をかけた。

「天野さん提案があるんだけどさ」

「いやです」

「せめて提案の内容ぐらい聞いてよ」

「冗談冗談」

天野さんは少し笑いながら言う。

マスクをしていて口元は見えないが、目元を細めて笑っていると分かる。

「天野さんって部活入ってないよね?」

「入ってないよ、運動もそこまで好きじゃないし」

「そんな天野さんに提案なんだけどさ」

「うん」

「文芸部入ってみない?」

「文芸部?緑川君文芸部だったっけ?」

「いや違う、でも入ろうかなぁって思っていてだから一緒に入ってほしいなぁって思って」

「うーんどうしようかなぁ」

天野さんは少し黙って考える素振りを見せて

「うんいいよ」

「え?まじで?やった」

俺は内心では多分無理だろうなぁと思っていたので意外だった。

「あっでも帰りにアイス奢ってよ?」

「10円までね」

「10円で一体何が買えるの?」

「冗談冗談」

俺は少し笑いながら言う。


放課後、帰りのホームルームが終わり、そして天野さんと一緒に文芸部の部室に向かった。

文芸部と書かれた紙がドアに張りついてあり、文芸部であることがわかる。

俺は三回ノックし、「失礼します」と言って入室していく。俺に続いて天野さんも「失礼します」と言って入室する。

部室を見渡すといくつかのノートパソコンが置かれており、部室には四人の人がいた。

生徒と見れる人が三人と、顧問であろう眼鏡をかけたおばあちゃんの先生が一人だ。

俺たちが入るとほぼ同時に一人が立ち上がり、こちらに向かってくる。

向かってくるのは女子で、黒い髪を腰まで伸ばし、身長は天野さんより少し低いぐらいだ。そして目がぱっちりして顔が整っている一言でいえば美人と表せるような女子だだ。

その少女はテンションが高めの声で俺たちに話しかける。

「入部希望者?歓迎するよ!」

その女子は俺の手を握り、目を輝かせながら言う。

「はい、入部したくて」

俺は少し戸惑いながらも返事をする。

「助かるよ!もう部員が私含めて四人しかいないから私たち三年生が引退すればもう二人しか残らないから廃部確定なんだよ!助かったよぉ」

その少女は俺の手を握ってぶんぶんと振り、そのあと、俺の後ろにいた天野さんの手も握ってぶんぶんと振る。

「そういえば自己紹介するの忘れてたね。私の名前は羽柴 優香、よろしくね。ちなみに文芸部の部長をやってるよ」

優香さんはずっと笑顔のまま話している。明るそうな人だ。

「緑川 雄太と言います。よろしくお願いします」

俺の自己紹介に続いて

「天野 雫と言います。よろしくお願いします」

と天野さんも自己紹介をした。

「さぁどうぞどうぞ」

と羽柴さんはノートパソコンの置かれてある二つの席に俺たちを誘導する。

俺たちは

誘導された席に座り、そして文芸部の説明を受ける。

小説書いたり手編みしたりイラスト書いたりといろいろしたりするところだと。でもほとんどの人が小説を書いていて、実質小説部だと言っていた。

そして俺たちは文芸部の説明を受けたり、小説を書いた後は文化祭に出したりするのでできるだけ書いてほしいなどいろいろ言われて、そして今日はそこで部活が終わり、そのまま帰宅することになった。

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