第7話 天野さんの学校生活

この時間はいつも虚ろになる。

ゆっくりと起き上がりスマホを見ると、月曜日 午前七時と表示されている。

俺は思い足を上げながら下のリビングに降りていく。

俺がリビングに降りると

「歩夢~早くご飯たべなさ~い」

とアニメで何回聞いたかわからない言葉を聞く。その言葉の主はボブカットの三十代後半の黒髪のボブカットの女性、俺の母である。

「わかったよ」

と俺もアニメで何回聞いたかわからない言葉で返し、リビングの椅子に座る。

これが俺の朝のルーティーンになっていた。


学校につくと自分の席に着席し、スマホを眺める。天野さんの席をちらりと見るがまだ来ていないようだ。

ネットニュースの見出しにはいろいろな物がある。

【恋は楽しい?】

【勇気の出し方】

【見たことはすぐにやらなきゃいざというときにできない】

【ネットニュースの見出しはあなたの好みによってきまる】

【来季のアニメ強すぎる!?アニメ化の決まっている作品】

【高校数学の乗り切り方】

などといろいろな見出しがあり、俺は勇気の出し方というのをタップしてみる。


【勇気の出し方】

人には様々な時に【勇気】を出さなければなりません。

告白など何かを決断する時には勇気が必要です。

そんなとき勇気がなくては困りませんか?

そんな勇気の出し方を今回はご紹介致します。

という始まりの後に勇気の出し方について説明された。

俺がその説明を読み終わり天野さんの席を見ると天野さんはいつのまにか着席しており本を読んでいた。

俺が再びスマホに目を向けると教室のドアが開き、担任の先生が入ってきた。


授業の始まりを告げるチャイムが鳴り、教室のドアから古文の先生が入ってくる。

授業は至っていつも通りの授業だ。

そして古文の先生は問題の答えを指名して答えさせる。

「天野、これの答えはなんだ?」

先生がそう言い天野さんのほうへ振り向く、天野さんは基本的にまじめだ。授業も真面目に受ける。だが眠たいときは例外だ。睡魔に勝てず眠ってしまう。

俺が天野さんへと振り向くと天野さんは寝ていた。ぐっすりと。

その天野さんを見た先生はゆっくりと天野さんに近寄り、とんとんと天野さんをたたき、「起きなさい天野」とまるで母みたいな声で言う。

それに返答するように天野が寝言を言う。

「緑川君勇気を出して謝ったほうがいいって、流石に家の窓割ったのはばれるって」

俺が小6の頃してしまった出来事じゃねーかと内心でツッコむ。

その天野さんの寝言により、クラス中の視線が俺に集まる。ちゃんと謝ったから!

でもその視線も一瞬でもう一回天野さんに視線が集まり、天野さんはゆっくりと起き、「あっすみません寝てました」と謝り、普通に授業に戻る。

評定は大丈夫なのだろうかと思うが、中学校の時通知表を見せてもらったら結構よかった記憶がある。天野さんは地頭がいいのだ。


古文の授業が終わり、俺は次の授業の用意をしていると後ろから声がしてきた。

「そういえば天野あの服買った?」

「まだ買ってないや、他にほしいものがあったからさぁ」

と天野さんが友達話している声だ。

天野さんは基本的に守備範囲が広い。ファッション関係のものも分かればオタク関係のものをわかる。

ちなみに俺はファッション関係はダメダメだ。


昼休みのチャイムが鳴り天野さんの席を見るともういなかった。

俺はなんとなくこの前天野さんと一緒に雑談をした体育館裏に行くことにした。

体育館裏に行くとそこには一人背中を猫背の状態で黒髪を背中の真ん中まで伸ばした人がいた。

「天野さんやっぱり居たんだ」

俺がそう声をかけると、その人は急いで左手を顔に伸ばしてマスクをつける動作をする。

「なんでわかったの緑川君」

「いやだって前ここで怪我したときに呼んだじゃん」

「くそ、やっぱり緑川君に頼むんじゃなかった」

「失礼だなおい」

思わずツッコみを入れる。

俺は天野さんに近づく。

「弁当一緒に食べていい?」

「背中合わせなら」

天野さんはOKをしてくれた。


俺は弁当を食べながら天野さんと雑談を交わす。

「天野さんって押され弱いよな」

「別に弱くないわよ」

「いやだって俺が中学校の時にアニメの特典探すために頼み込んだらに三日も付き合ってくれたじゃん」

「別にあれくらいいいわよ」

「でもお前高校選びに迷ってたとき友達にこの高校にしてほしいって頼みこまれてこの高校にしたんだろ?」

「なぜそのことを...」

「たまたま廊下で聞いた」

「もしかして私のストーカー?」

「ストーカーじゃあねぇわ」

俺がストーカー説が出る雑談をしていると

ピーンポーンパーンポーンと高い音で鳴り、校内放送が流れる。

そしてその校内放送の内容は

【一年A組 天野雫さん 至急職員室にきて下さい】

というものだった。



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