第6話 天野さんの夢

天野さんの家で遊んで、家に帰り、ぼーと天野さんのSNSを眺める。

そこには【あの服超かわいい】とか【ベッドの上でゴロゴロしてたら一日終わってた】などと様々の書き込みがある。

俺はそれらをぼーと眺めながら反応していく。

ふと気になって天野さんのフォロワー欄を見てみると様々な人がいるが、大抵同じ学校の人かなと思う。

そのままSNSを見ているとスマホが震え、バイブ音が鳴る。

通話をかけてきた主は岩田君だった。

通話に出ると

「Hey brother 元気かい?」

と陽気な声がスマホから出る。岩田君は通話をするときはだいたいこんな感じなのだ。

「元気だよ my brother」

それに対して俺もブラザー呼びで返すのが当たり前となっていた。

一体いつからこうだったかなと思い出す。

「緑川って明日遊べるかい?」

そして挨拶が終わるとブラザーではなく緑川呼びにもなるのはいつからだったか。

「俺はいつでもフリーだよ」

「そうだな、緑川暇人だもんな」

失礼だなこいつ。と少し思う。

「岩田の家行けばいいの?」

「そうそうそうゆうことよ」

岩田はそう言い通話を切る。

俺は通話が切れた画面を閉じ、そしてそのままスマホの電源を切る。

そしてそのまま寝ることにした。


八歳ほどの少年と少女が二人でいた。それは俺と天野さんだった。

天野さんと俺は花庭の中で二人で居て、俺たちは花庭の中で無邪気に走り回ったりしたり相撲をしたりといろいろして遊んでいた。

そして日が傾き、空がオレンジ色になったころ、俺たちはお互いに花輪を作ることにして一生懸命花輪を作っていて、そしてついに花輪が完成し、俺たちは泥だらけになりながら花輪を交換していた。俺の花輪は赤い菊の花で作った花輪で、天野さんの花輪は薄い紫色の勿忘草(わすれなぐさ)で作った花輪だった。天野さんが俺の頭に勿忘草の花輪を被せ、にっこり微笑んだ。

俺も天野さんの頭に赤い菊の花の花輪を被せようとしたその時、俺の花輪がちぎれ、地面の花たちの中に紛れて、わからなくなってしまった。

俺は悲しくなって泣いてしまう。そんな俺を天野さんは慰めてくれて、一緒に家まで帰った。


俺はベッドから起き、枕元に置いてあったスマホを見ると午前七時と書かれていた。

「変な夢見たなぁ」

と俺はぽつりと独り言を呟く。

そういえば昔はあんな感じで外でも遊んでたなぁと思い出しながらベッドから降り、そのまま階段を降り、リビングにある椅子に座り、壁にかけたあるカレンダーを見ながらぼーとする。カレンダーの月は六月になっていた。

そしてしばらくすると、やっと動く気力が出てき、岩田の家に行く準備をすることにした。


十五分ほど歩くとでっかい平屋の一軒家を見つけた。

俺は足を止め、岩田と書かれた表札の下にある黒いインターフォンを押す。

ピンポーンと軽快な音が鳴り、一分ほどするとスライド式のドアの玄関が開き、少し茶色がかった色の少年、岩田が出てきて、「Hey my brother」と言い、俺を玄関に招く。それに対して俺も「Hey my brother」と返して玄関に上がる。

俺と岩田は少し廊下を歩き、岩田の部屋に入るとそこにはもう一人いた。

「海野もいたのか」

俺が海野と言った少年は校則違反の金髪で髪は横を刈り上げ耳には銀色のピアスをつけている。いかにもちゃらそうだ。

俺は一生かかわらないタイプの人種だなと思うタイプだが、海野は小学校のころは黒髪で髪も結構長いタイプで比較的暗いタイプだった。でも俺や岩田や天野さんとは結構仲が良かった。

だけど中学校くらいになってからやんちゃになったイメージだ。

いつもはやんちゃグループと一緒に遊んでいるがたまに俺や岩田とも遊ぶ。

「俺は緑川より十分も早くいたんだから先輩と呼べよ」

「なんでだよ」

と海野が謎理論と展開すると

「じゃあ俺が一番この部屋にいるからお前らfatherって呼べよ」

「「いやだよ」」

緑川と俺の声がはもると岩田は少し悲しそうな顔をしながらすぐに明るくなり、棚からトランプを取り出す。

「久しぶりにトランプしよーぜ」

「ひさしぶりだな、トランプとかするの」

俺たちはトランプを使った遊びを始めた。

そしてトランプの定番のババ抜きをしていると右足に痛みが走る。

「イッタッ」

「どうしたんだいmy brother」

「いや足つった」

「普段からアニメばっか観てて運動しないからだよ」

「でも俺はアニメを観るんだ」

「小学校の頃から変わらないよな」

岩田は少し呆れた声で言う。

つった足をさすりながら俺は海野の二枚のカードとにらめっこをする。

「海野お前ババ持ってるだろ?」

「持ってないよ」

「本当のことを言えばいい、お前、ババ持ってるだろ」

「もってねぇし俺が持ってないほうがお前もいいじゃねぇか」

確かにそうだった。海野の反対側を見ると岩田がハッハッハッハと軽快に笑っている。


俺が帰宅するとき、岩田が俺に声をかけた。

「そういえば夏休み天野も入れたこのメンバーで久しぶりにどこか行きたいよな」

「確かにそうだなぁ」

と同意する。だがまだ夏休みまで一か月半ほどある。

「まぁ夏休み中に決めたりしたらいいんじゃない?」

「まぁ確かにそうだな」

そしておれはお邪魔しましたーといい玄関のドアを閉じ、帰路につく。そして思う。

運動しないといけないなぁ、と

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