第5話 天野さんと遊ぶ日

天野さんが足を怪我してから二日が経った土曜日。

今日は天野さんが俺の家に来る約束だ。

そう思って部屋の掃除に掃除機をかけているとポケットに入れてあるスマホからバイブ音が鳴った。

ポケットからスマホを取り出すと天野さんから電話がかかっていた。

通話に出る緑のマークをタップして通話に出る。

「はいもしもしー」

「緑川君頼みがあるんだけど」

「お金なら貸しませんよ」

「カツアゲしてないから」

と天野さんが少し笑いながら言う。

「でなんですか?」

「私足怪我してまだそこが痛むのよ。だから緑川君が逆に私の家に来てくれない?」

「おっけおっけ、行くわ」

そうか会話を打ち切り、通話を切る。

俺は寝間着用のジャージからジャージに着替え、行く準備をし、天野さんへ向かった。


何度か来たことのある家にたどり着き、黒いインターフォンを押す。そうすると少し時間が経ち木目調の黒いドアのまで待っているとドアが開いた。

ドアからはちょっと寝ぐせのついた黒髪の少女、天野さんが出てきた。

その服装はピンクのパジャマだった。ちなみに時刻は12時である。

「天野さんパジャマて」

「緑川君もジャージじゃない、緑川君パジャマの代わりに寝るときジャージで寝るタイプの人間でしょ」

大正解だ。

俺も天野さんもあまり服装を気にするタイプではなく、俺のジャージに至っても動きやすいからという理由で気に入ってずっと来ていたらジャージのメーカーのマークが気づいたら半分ほど消えていたジャージだ。

「まぁそんなことは置いといて」

俺はお邪魔しまーすとだけ行って玄関を上がる。

天野さんが階段を上がると俺もそれに続いて階段を上がる。

そして階段を上がり、廊下に出て一番奥の部屋に着くと天野さんの部屋に着いた。

部屋のドアノブには真奈と木の板に天野さんの名前が書かれている。

天野さんがドアを開けるのに続いて俺も部屋に入る。

部屋の中はいたって普通の広さで部屋の真ん中にはテレビがおいてあり、そのテレビの前にはテーブル、そしてそのテーブルの前には二人用の黒のソファーがおいてあり、両端の壁には本棚があり、びっしりと本が積まれている。その本のタイトルは俺も結構しっていたり読んだことのあるタイトルだ。


「どうぞどうぞ」

と天野さんがソファーを勧め、俺はソファーに腰掛ける。そしてその俺の隣に天野さんが腰かける。そしてテレビには今放送中のアニメが映る。

そしてそれを二人で観るというわざわざ人の家に来てまですることかと思うかもしれないが天野さんも俺も多人数でアニメなどを見たほうが楽しめるタイプなのでいいのだ。


アニメ三話分ほどが終わり時刻は午後一時を回っていた。

「おやついる?」と天野さんの問に「ほしい」と答えるとポテトチップスの袋が放り込まれる。「貸し5ね」「貸しの数がでけーよ」と会話をし、またアニメを見ていると、天野さんが提案してきた。

「たまにはゲームしない?」

「俺ゲーム最強だから」

「中学生の時私にほとんど負けてたじゃん」

「うっせー」

と会話をしながら天野さんがゲームを起動する。起動したゲームは有名格闘ゲームだ。

俺と天野さんはコントローラーがを握り、ゲームを始める。

そして俺のキャラクターのHPゲージは毎回ゼロになる。

そのたびに「まだまだだねぇ」と天野さんからのお言葉が来る。

次こそは勝つ、そう思いながらコントローラーを握る。

二人ともゲーム中体の動きが激しいタイプなのでときどき体がぶつかる。

リアルでもファイトしている感じである。

俺のHPゲージが何回目かのゼロを迎えたとき、

「ちょっと飲み物取ってくるね」

そう天野さんが言って部屋を出ていく。

俺がポケットに入れたあったスマホを取り出すとヘアのドアがガチャリと開いた。

後ろを振り向くと10歳ほどの黒髪短髪の少年が居た。

「蒼汰~久しぶり~」と声をかけると蒼汰はぷいと横を向き、無視をする。

なぜ無視されるかと言うと、蒼汰は重度の姉好きなのだ。

なので俺は敵視される。というわけなのだ。

「お姉ちゃんは、渡さねぇから」

と蒼汰は下を向きながら何回聞いたかわからない言葉を吐き、こちらに向かってくる。

そして俺の隣に座ってきた。

その時、もう一回部屋のドアががちゃりと開き、天野さんが入ったきた。

「おっ蒼汰もいたんだ」

そう言い俺と蒼汰の間に入る形でソファーに座る。二人用のソファーなので結構狭い。ギュウギュウ詰め状態なのだ。

天野さんは蒼汰にコントローラーを差し出し、やる?と質問してやるという返答が返ってくる。

そうすると天野さんは「じゃあこっちは二人でしようかななどと言い出し、俺のコントローラーを半分持つ、俺は少し驚いたが攻撃移動を二人で分けながらするということらしい。左側にある移動するボタンは俺、右側にある攻撃などをするボタンは天野さんという形になる。俺たちはこの狭いソファーの中でもっとくっつきながらプレイすることになり、少し暑いとも思いながらプレイする。くっついているため天野さんの匂いが鼻孔を刺激し、なぜか少しどきどきする。

でもゲームをするとそのドキドキもだんだん薄れてき、ゲームに熱中する。

対戦結果は、天野さんが強すぎ、ほとんど勝つことになった。

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