第4話 天野さんとの雑談

天野さんと一緒に土の地面に座り、五分ほど経った

一番上まで登り、後は落ちるしかない太陽が明るく俺たちを照らしていた。

「天野さん先生連れてこようか?」

「大丈夫、あとちょっとしたら歩けるぐらいにはなると思うから」

天野さんの足を見てみるが、右足首は赤く腫れており、左足の膝も右足の膝よりも多い血の量が流れて、白の靴下を少し赤く染めていた。左足の膝の怪我は俺のせいなので罪悪感を覚える。

「そういえばさ緑川くんってもしかして昼休み暇人?」

「なんで?」

「いやぁ、私が呼んだらすぐに駆けつけてくれたから」

「それだけ聞くと俺すげぇ王子様みたいだな」

「まぁ髪の毛金髪に染めたらそれっぽくなれるんじゃない?」

そんな会話をしていると大きめの音のチャイムが聞こえる。

「あっ授業始まった」

すっかり忘れていた。次の時間は数学だったっけかと思い出していると

「行かなくていいの?授業始まったよ」

「まぁ別に今行ったところで間に合わないから別にいいかなぁって」

「授業さぼりたいだけじゃない?」

図星を付かれた気がするが話を逸らす。

「足大丈夫なのか?」

「大丈夫だよ」

天野さんの足を見てみると膝からは血が流れていて固まりそうになっている。そして足首は赤くはれている。

ちょっと間が空いてから

「話を変えよう

天野さんがそう提」案してきた。

「まぁなんでもいいけど」

「じゃあさ、緑川君って好きな人とかいるの?」

天野さんは少しにやりと笑いながら、そう尋ねてきた。

俺は少しむせそうになったが冷静沈着に返す。

「推しのスカレフちゃんだ!」

「いや三次元のほうでだよ」

天野さんから素早い返しが来る。

俺は少し迷ってから

「いないっていうこともないかもしれないけどいないかなぁ」

と曖昧な回答を返す。

「曖昧すぎないその解答」

天野さんは少し困ったような顔をしながら俺の回答に文句を言う。

いいじゃないか、曖昧で。

「そんな天野さんは好きな人とかいるの?」

「半年後とかにはできてるんじゃないかなぁ」

「なんで未来見据えているの」

そんな会話を繰り広げていると、体育館からいろいろな音が聞こえてくる。

話し声や体育館の床を踏む音など様々な音が聞こえてくる。

「なんか」

天野さんは少し溜めてから

「ワクワクするよね、なんかかくれんぼみたい」

「かくれんぼ?なんで?」

「ばれたら怒られそうじゃん、だからだよ」

「そっか」

俺はちょっと体育館を見ながら、

「こんな堂々としたかくれんぼしたことないわ」

と少し心臓の鼓動が早くなったかもしれないと思いながらぼーとしていると

「そういえば小学校のころクラス全員でかくれんぼしたよね」

と天野さんがこっちを向きながら言ってきた。

「そういえばしたなぁ」

と小学校の頃の記憶を引っ張り出してくる。


クラス約三十名ほどでかくれんぼを行うことになって、俺と天野さんとそして岩田君という友達三人で一緒に行動し、隠れ場所を探して、そしたら岩田君がある場所に目を付けた。そこは白い小さい倉庫なようなもので、一回も開けられたのも見たことない倉庫だった。そこに岩田君が「あの中に隠れよーぜ」と提案し、三人であの倉庫に隠れて最後まで隠れ切ったなぁという思い出話を話していると暑くなってきたので

「ちょっと暑くなってきたから木陰に移動しない?」

と木陰を指さしながら言う。

「じゃあちょっと肩貸して」

と天野さんが俺の肩を指さしながら言う。

俺は立ち上がり、天野さんに肩を貸す状態で屈む。

そして天野さんは俺の肩を借りて立ち上がり、一緒に木陰に移動していく。

そのとき、後ろから大きな声が聞こえてきた。

「緑川と天野、なにやってるんだー」

後ろを振り向くと三十代後半の男の先生が低い声で俺たちを読んでいた。

俺たちはちょっとずつ体育館に近づき、先生に事情を告げる。

天野はクラスの女子に肩を貸してもらいながら保健室に行き、俺は先生に早く先生を呼べと、少し怒られたが、その怒られたことをプラスにするぐらい、あのかくれんぼは楽しかった。

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