第13話「さつま芋と少女」

 秋、



 花はとても綺麗。


 花は人の心を豊かにする。


 花は世界を明るく照らす。


 でも花ではお腹が膨れない。


 分校の花壇はさつま芋畑と化していた。



「お芋」

 百合、花壇を畑に変えた張本人。


「百合、手伝って!」

 瑠璃、長く艶やかな髪も畑ではジャマとばかり、後ろで一本に縛る。


「ジャージかわいくない」

 百合、瑠璃とお揃い、あずき色の上下のジャージ、髪を二つ三つ編みに結う。


「芋食いたきゃさっさと掘れ!」

 瑠璃、飢えた獣と化す。



 食べ物は土地を変える。


 食べ物は人を変える。


 食べ物は人を生かす。


 食べ物は甘いのに限る。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る