第12話「朝と少女」

 秋、



 その日突然寒くなる。


 秋の気まぐれ。


 冬服の少女はもう一人に廊下で出会う。


 お揃いの制服、見つめ合う二人。


 同じ日の衣替え。



「おはよう瑠璃」

 百合が後ろから抱きつきアゴを瑠璃の肩にのせる。


「百合、おはよう」

 瑠璃、体を一回転、百合をスルリとかわす。


「愛が足りない」

 百合、人恋しい季節。


「いま持ち合わせが少ない」

 瑠璃、愛の持ち合わせが心もとないらしい。



 百合は無理やり腕を組む。


 瑠璃は百合を引きずる様に廊下を歩く。


 愛はともかく息はピッタリ。



 二人で歩む季節、時間は一方向いちほうこうに進んでゆく。

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