　春、

　体育館に行く前、靴に履き替え校舎を出る。

　古い木造校舎がグラウンドを横切る二人を見つめる。

　雨じゃなくてよかった。

「オレ、何にしようかな？」

　瑠璃、静かに突き放す感じて「オレ」。

「オレ？」

　百合、まるで男の子みたいと眉をひそめる。

「アタシ、メロンオレ」

　瑠璃、自動販売機のボタンを押し、紙パックのジュースを買う。

「……ワタシはイチゴ」

　百合、イチゴオレを選択。

　分校は高台にあり避難場所をかねていた。

　自動販売機が並ぶのは島の人の知恵。

　島の人の知恵が二人の日常にアクセントをつける。

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