第3話第五学校

「ここが、私が過ごす学校。」

町から山のあぜ道を学校の馬車で揺られる事3時間。他にも、自前の馬車に乗ってきた生徒や気合で歩いてきた生徒がいる中。ついについた、学校の大きな門の前には、広大な敷地が広がっている。ただ・・・・

「え?これが学校?」

どこかで、誰かが言ったように門に囲まれた敷地の中には、小さい建物がぽつんポツンとあるだけだった。


「どうも、校長のミーナです。この学校は魔法の可能性を追求せよとの、先代勇者の名を受けて設立されました。実践的なものだけでなく学術的なものも勉強することができます。この広大な敷地で、君たちに存分に学園生活を楽しんでもらいたいと思っています。以上です。」

校長のミーナという人が挨拶をしていた。青い服を着た、黒い髪のきれいな人だ。30歳ぐらいだろうか。どっかで見たことがある気がする。うちの地元にいたっけな。

「ここで学園生活、、、、」

隣の生徒が呟いた。そう言うのも分かる。町まで馬車で3時間もかかるようでは、遊びようもない。


「で、デカい。」

建物は、門の前で見ると、建物が異常に遠かった(徒歩で二十分はかかった。)のと、周りの山が大きいのとで小さく見えたが近くで見てみるとかなり大きい。どれも十階建てぐらいで横も広そうだ。

「新入生の寮はこちらでーす。」

「貴族用の寮はどちらでございましょう?」

「お嬢様、この学校は新設のため、まだそのような施設はないようです。」

「そうなの。」

おそらくボランティアの上級生が寮まで案内をしてくれた。学校の施設から寮までは遠くはないのだが、少しわかりにくい位置にあった。

寮も他の施設と同様に広いため一人一部屋があてがわれている。部屋の他には、部室と談話室、図書室、ボーリング、映画館など様々な施設が入っているらしい。町に出なくても、町でできることは大体できるというわけだ。


ここらで貴族という人間独自のシステムについて話しておこう。魔族の世界にはなかったシステムだ。人間には様々な国があり、そのほとんどの国にそのシステムは存在している。

まず、貴族には皇帝、国王、大公、侯爵、公爵、伯爵、子爵、男爵、準男爵といった具合の種類があるらしい。上から順に偉く、そして人数も少なくなっていく。が、その人の努力と貴族というシステムは全く関係ない。どれだけ勉強を頑張ったとしても、生まれながらその人が貴族でなかったならばその人は貴族にはなれないし、生まれながら貴族の人は極悪な犯罪行為などをしない限りずっと貴族だ。その時々、王様に気に入られたり、まためちゃくちゃに有能だったりして貴族になる家もあるみたいだが極めて少数だ。そして、最大の特徴として、政治には、貴族でないと関われないというものがある。貴族でないものはたとえ、勇者であっても政治に口を出すことは許されない。そのせいで、歴代の勇者がその当時の体制に反乱を起こすことも多々あったようだ。どうでもいいことだけど、貴族には苗字というもう一つの名前が存在する。


まあ、要は貴族はなんか生まれたときから決まってる特別な存在だよ、というわけだ。性格が悪い奴も体感多い気がする。で、そんな人に今私は話しかけられている。

「なぜ、あなたはそんなに本ばっかり読んでいらっしゃるのですか?」

そう話しかけてきたのは、カチューシャをかけている金髪の女の子だった。

「面白いからです。」

確か、この学校だと一番偉い感じの貴族だったはず。

「そうなんですの。その本なら私も読んだことがありますわ。」

「本当ですか?」

「本当ですわよ。」

それには驚いた。結構ニッチな作家で多分相当暇な人と私ぐらいしか読んだことはない。

「主人公の名前は?」

「ウッツくんですわ。」

「いつの話し?」

「5000年前の勇者様の話ですわ。」

「道中のドラゴンの倒し方は?」

「饅頭に変装して喉を一突きでしたわ。」

「どうやって、姫を救った?」

「お姫様が戦ったんですわ。」

ふむ。なかなかのマニアのようだ。

「これで質問は終わりですの?」

ちょっと得意げそうだな。

「相棒マッシの正体は?」

「ふっ、ぐもんですわ。マッシの正体は魔王軍幹部幻の五人目。通称魔王より強いと噂の燃える青いコンドル。と、見せかけて実は、本物の・・」

「あああああああああああああああ、それ以上はネタばれになるから駄目。!!!」

「あら、そうですの。」

平然な顔をして凄まじいことをしようとするお嬢様だ。


てな感じで私の学園生活が始まったのだった。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

こんなゆるーい感じで行きたいなと思っています。戦闘回は5回に一回ぐらいでいいかな。まあ、最後の方はそうもいかないかもしれませんが。



さて、次回!!!!お嬢様の秘密。




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