第23話 先へ進む力


『危機を迎えていた並行世界が消滅しました。』



え?え?え????



『明日、女神神殿まで来てください。お願いします・・・・』



いっきに目が覚める。 は?アドミニス様は何て言った? 消滅した??

カレンも同じ様だ、、、顔色が真っ青だ。



「(カレン、聞こえた??)」


「(うん、聞こえた、、、並行世界が消滅したって、、、

 私達、間に合わなかった、、、)」


「(アドミニス様、15歳になったら旅立つって言ってたんだから、

 何かの変化があって予想より早くなったんだと思う、、、)」


「(でも、、、)」


「(カレン、今の俺達じゃどうしようも無かったと思う。少数の人々を

 救う事は出来ても、世界の全てを救えるとは思えないよ、、、)」


「(それはそうかもしれないけど、、、)」


「(明日、女神神殿で詳しい事が分かるんだ。たぶん、あの世界に

 呼ばれるんだと思う、、、 今は、その時を待つしかないよ、、、)」



結局、一睡も出来ないまま朝を迎え、母さんをピエールさんの店まで護衛した後、

準備もそこそこに女神神殿へ向かった。




~~~~~~~~・~~~~~~~~・~~~~~~~~・~~~~~~~~




『アレン・ブラットフォート、カレン・ブラットフォート、並行世界が

 消滅してしまいました、、、』



女神神殿を訪れた後、またあの世界に呼ばれたみたい。



『アドミニス様、私達は失敗したんですね、、、これからどうすれば

 良いのでしょうか、、、?』


『あなた方が失敗した訳では無いのです。予想より早く、魔素の枯渇が進み

 私も何も手が打てませんでした。 昨日、世界を襲ったあの振動は、並行世界が

 消滅した影響なのです。』


『アレン・ブラットフォート、カレン・ブラットフォート。二人にお願いが

 あります。 並行世界が消滅した原因を探り、二度と同じ事が起きないよう、

 問題を解決に導いて欲しいのです。』


『アドミニス様、そうしたいのは私達も同じですが、問題が起きていた

 並行世界は消滅してしまいました、、、 第1霊界と呼ばれる場所には

 その並行世界しか無かったと話しをして頂いたと思います。探り様が無い

 のではないでしょうか、、、? それとも、私達の世界も同じ様になる

 のでしょうか?』


『各霊界のオリジナルとなる世界は私が創造した世界ですから、簡単に消滅

 する様な事は無いと思いますが、第1霊界以外の霊界にある並行世界に関して、

 今回の様な魔素枯渇現象が起きないとは断言できません。』


『ですので、二人には霊界の壁を越えてもらいます。』


『出来るのですか、、、? トラベラーは並行世界を行き来する能力

 だったのでは?』


『トラベラーの力だけでは不可能です。ですので、各霊界のオリジナル世界にある

 オーブから力の結晶を受け取り、それに魔力を注ぎ込み続けて下さい。15歳を

 迎えるまで毎日です。 その魔力を注ぎ込んだ力の結晶とトラベラーの能力を使い

 他の霊界を捉えて転移するのです。』


『そんな事が可能なのでしょうか、、、』


『オーブが生み出した力の結晶なら、それを可能とするだけの魔力を貯める事が

 可能なはずです。世界を管理する力の破片なのですから、、、』


『もし、転移した先の霊界内全ての世界に原因が無かったら、また数年掛けて

 魔力を貯めないと何も出来なくなってしまうのではないですか?』


『あなた方のいる第1霊界以外には、複数の並行世界が存在しています。

 オリジナル世界のオーブから力の結晶を受け取り、並行世界にあるオーブより

 出来る限りの魔力を受け取って下さい。 その力を使って転移する事が

 出来るでしょう。』


『並行世界消滅の原因や、今回の様な魔素枯渇が進行している場合、私達が

 転移しただけで何か分かるのでしょうか??』


『二人が持つ事になる力の結晶を通して、その世界のオーブに干渉を試みます。

 それが出来れば、今回の様に手遅れになって初めて判明するような事には

 ならないと思います、、、』


『・・・・分かりました、、、とにかく、私達は転移先でオーブを目指す

 という事ですね。 その過程で原因や手掛かりを見つけると、、、』



カレンとアドミニス様の会話が続く、、

うん、これ、俺が口出しちゃいけない奴だ。



『アレン・ブラットフォート、このブレスレットを身に着けて下さい。』


『これは、、、?』


『力の結晶の受け皿です。一度身に着ければ、それはもうあなたの体の一部と

 なります。 たとえ、身に着けた腕を切り落とされようとも、形を変え、

 あなたが死んで消滅するまで、あなたと共にあり続けます。』



なんかちょっと怖ぇええええええええええ!!!!

言い方が物騒過ぎるよアドミニス様!!



『転移先の霊界から、更に別の霊界に転移する為には、その霊界にある

 力の結晶を使う必要があります。 ですが、あなたがこれから得る

 第1霊界の力の結晶にも、引き続き魔力を貯める事が出来ます。

 あなた方二人の旅は困難を極めるでしょう。 貯めた力はきっとあなた方の

 助けとなるはずです。』



渡されたブレスレットを身に着ける。

もうこれで外す事すら出来なくなったのかな、、、?



『カレン・ブラットフォート、あなた方が戻った時、第1霊界の力の結晶

 【ソウルオーブ】を得ているでしょう。 ですが、他の霊界では、同じ様な

 力は揮えません。あなたがプロキシーの力を使って力の結晶を取り出して

 下さい。』


『分かりました、、、』


『アレン・ブラットフォート、カレン・ブラットフォート、あなた方二人の

 強き意思が頼りです。 どうか、このシステムを救って下さい。

 15歳を迎える時、また第1霊界の女神神殿を訪れて下さい。

 そこから、あなた方は旅立ちます。』




~~~~~~~~・~~~~~~~~・~~~~~~~~・~~~~~~~~




祈りの間に戻ってきたみたい。 カレンの手にはアドミニス様が【ソウルオーブ】と

呼んでいた物と思われる玉が握られていた。


透けて見えるんだけど、中で何かが渦巻いているような、何か不思議な感じ。

それをブレスレットに取りつけ、俺達は女神神殿を後にした。



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これで2章は終了です。 次章より、ようやくタイトル通りの並行世界を

行き来するような物語が始まります。 ・・・始まるはず?

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