第20話 出会い
「こちらは終わりました! そっちは大丈夫ですかー?」
「ああ、こっちも終わったぜ、ホント助かった! ありがとう。」
あっちも大丈夫だったみたいだね。返事を待ってから、カレンが
アースウォールを解除する。
護衛の人は多少の怪我はあるけど、回復魔法を使わなくて大丈夫そう、、、
ここは母さんに任せよう。
「いやぁ、ホント助かりました。王都から商品を運んでいたんですが、
この辺であんな数の魔物に襲われた事など1回も無かったんですよ。
なので、いつも通りギルドで護衛を一人依頼したんですが、まさか
あんな数の魔物に襲われるとは、、、カイトさんも怪我は大丈夫かい?」
「ああ、このぐらいの傷は問題ない。 それにしても、お前ら強えな、、、
相手はゴブリンとはいえ、あの数に囲まれたら流石に俺も覚悟したぜ、、、
なのに、あっという間に倒しちまった。たいしたもんだ!」
「あはは、大きな怪我が無かった事は良かったですけど、怪我をしたには
違いないですよ、、、 母さん、お願いしてもいい??」
「ええ、任せて。さぁ、こちらを使って。この傷の具合だと、これで
間に合うはずよ。」
「い、いや、流石にポーションを貰う訳には、、、、 この程度の傷なら
大丈夫っすよ。」
「ふふ、母は【リンツ】でも有数のポーション職人なんですよ?
材料も薬草は私たち兄妹で採ってきた物だから、気にせず使った方が
良いですよ! この先も何があるかわかりませんからね。」
「んじゃ、スンマセン、ありがたく、、、んぐ、んぐっ、、、、、
お、おおお? 傷も綺麗さっぱり消えた!! これ下級ポーションっすよね?
流石【リンツ】でも有数のと言うだけあるなぁ! 貰っちゃっても
良かったんすか?」
ふっふっふ、さすが母さんのポーション。俺が魔法使わなくても全然
問題なかったね。 傷も綺麗に消えたみたいだし。
「ええ、遠慮なく。 もし気に入ったら、うちに買いに来てくださいね。
ふふふ。」
「はは、さすがだな。 【リンツ】に着いたら寄らせてもらうよ。」
「うちは、ブラットフォート雑貨店だよ。 お兄さん、ギルドに寄るでしょ?
ギルドで聞いてくれれば、うちの場所教えてくれるよ!」
「分かった。 今回の護衛の件、特にゴブリンの群れについて報告するから、
それが終わったら行ってみるぜ。」
「うん、うちらも【ウェル】のギルドに報告に行くことにするよ。」
「それにしても!
うわっ、商人のおじさんが凄い勢いで割り込んできたよ、、、
素晴らしいポーションですね!! こちら、何処かに卸されてます???
あ、失礼しました! わたくし、王都で小さな商店を営んでおります
ピエールと申します。」
「私はナタリア・ブラットフォートと申します。ピエールさん、これらの
ポーションは私どもの店で販売している物のみなんですよ。 私が一人で
作成している事、材料の入手も自分で見て判断している事もありますから、
なかなか他のお店にまで卸す程の数は作成できませんねぇ。」
「で、でしたら、材料は我々で揃えますので、ナタリアさんには作成に専念
して頂くという形ではどうでしょうか?? もちろん、これだけの品質の
ポーションですから、材料の品質にもこだわりがあるでしょう。 ですが、
私どもも腐っても商人の端くれです。お望みの品質の材料を揃えますので!!」
「それでしたら、、、ピエールさんが揃えることの出来る材料を拝見して、
出来るかどうかの判断をさせて頂くという事で、、、いかがでしょうか?」
「ありがとうございます!!! ポーション作成に使用する材料に関しての
秘密もしっかり守りますので、その辺も含めて一度王都のお店を訪ねて頂いても
よろしいですか? そこで品質の確認や、契約の詳細を詰めたいと思います!」
「分かりました、よろしくお願いします。」
「こちらこそ、よろしくお願いします!! いや~、ゴブリンの群れに
襲われた時は最悪だと思ったのですが、まさかこんな素晴らしい商談に
つながるとは夢にも思いませんでした! わっはっは。」
その後、ピエールさんにお店の場所を聞いてから出発した。
「いや~、なんか凄い勢いの人だったね、、、 ゴブリンの群れより
迫力あったよ。」
「ふふ、思いがけない出会いだったわね。これも、アレンとカレンが彼らを
助けたからよ。 王都に行って確認しなければならない事はあるけど、
良い取引が出来そうね。二人とも、ありがとう。」
「王都に行く時は私たちが護衛するわ。わざわざギルドに頼まなくても
大丈夫だからね、お母さん。」
「ええ、その時はお願いするわね。 それまでに、何を卸すか、何が必要かを
まとめておかないとね。お母さんも頑張るわ!」
問題なく【ウェル】に到着し、母さんとカレンは材料を探しに、
俺はギルドを訪ねてゴブリンの群れの件を報告したのだった。
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