第18話 ようやく戻る
ザンッ!!
ウィンドカッターが当たった木が切断面からずり落ち倒れる。
「ハァ、ハァ、ハァ、、、なんとか、ウィンドカッターの威力調整が
出来る様になってきたわ、、、 でも、もう限界!」
荒い息をしたカレンが座り込む。もう、かなりの回数ウィンドカッターを
発動していたが、ようやく納得がいく調整が出来たみたい。
でも、、、
「これ、ちょっとやっちゃったよね。」
周囲の樹木がだいぶ切り倒され、ちょっとした広場が出来上がりつつあった。
(切り株はあるけどさ)
「このままだと、街の近くで誰かが魔物と戦ったと誤解されるかもしれないから、
倒した木だけでもまとめて片付けておこうか、、、 カレン・・・は休んでて。」
魔法の訓練で疲れ果てているカレンには頼めなそうなので、俺が頑張るしかない。
はい、頑張りました、、、 身体強化魔法の訓練だと思って、切り倒した木を
一か所にまとめておいた。 これなら魔物じゃなく人がやったと分かるだろう。
「カレン、終わったからそろそろ帰ろうか。」
「そうね、、私も今日はこれ以上出来そうもないしね。ある程度強くなったら
また来ましょう。学問所の無い日はギルドで訓練、私たちの成長の確認や
ギルドで出来なそうな事をたまにここに来てやってみましょう。」
こうして、俺達は持てる力を発揮できるように訓練を重ね、時に冒険者としての
知識を得るためにギルドの講習会に出席し、徐々に実力を高めていった。
~~~~~~~~・~~~~~~~~・~~~~~~~~・~~~~~~~~
「と、こんな感じで訓練を重ねてたんですよ~。」
「? アレン、何ブツブツ言ってるの? 魔石と討伐証明用の耳を取ったら
もう少し薬草を探すわよ。」
「ゴメンゴメン、ちょっと考え事を。すぐに片付けるから待ってて!」
俺、アレン・ブラットフォート12歳。今、カレンと共にゴブリンを倒した後、
なが~い回想にふけっていた様です。
討伐したゴブリンをお片付けした後は、魔物に遭遇することも無く薬草採取も
捗り、程無く街に帰還した。
「ノエルさん、【静寂の森】でゴブリン3匹を討伐しました~。」
「アレン君、カレンちゃん、お疲れ様。ゴブリン3匹ね? 討伐証明は奥の
カウンターの方でお願いね。」
「分かりました~。 カレン、俺が行ってくるから、後の手続きお願いね!」
「了解、そっちもお願いね。」
奥の扉を潜り抜けギルドの食堂兼酒場に向かう。提出カウンターは更に
奥の扉の先にあるのだ。
「よぉ、ブラッドツインズ! いま戻りか?」
「ザックさん!! もう、その呼び方やめて下さいよ!
うちはブラットフォート! 物騒な名前で呼ばないでください!!」
ザックさんは、初めてギルドを訪れた時に入り口前で声を掛けてくれた
あのおじさんだ。いかついけど優しい、ベテランの冒険者。
俺達の事を何かと気に掛けてくれて、見かけるといつも声を掛けてくれる。
だが、、、ブラッドツインズ呼びはやめてほしい、、、
この2年、とにかく能力を使いこなす為、頑張りに頑張った!
そのおかげ?で、元々発現した能力がアレだった事もあり、この年齢にして
このギルドでもかなりの実力者として数えられるようになってしまった、、、
それでついた呼び名が【ブラッドツインズ】。俺達の実力と、俺達の家名
ブラットフォートをもじってつけられた呼び名だ。物騒なのでやめてほしい。
そんなに血を欲してはいません!!
提出カウンターに討伐証明のゴブ耳を提出し、また食堂に戻ってきた。
「アレン、今日は何処に行ってたんだ?」
「今日は【静寂の森】の少し奥の方に行ってきました。ポーション用の
薬草採取だったんですけど、ゴブリンに遭遇して。丁度3匹だったんで、
家に戻る前に提出に来たんですよ。」
ギルドの常設依頼はゴブリンだと3匹なのだ。
「【静寂の森】は変わりなかったか? 戦闘は3回か?」
「特に変わりは無かったと思いますが、戦闘は1回です。少し奥の方に
入った所に開けた場所があって、そこに北東方面からゴブリンが3匹で
接近してきた感じです。」
「ふむ、、、ゴブリンが3匹で移動してたって事か、、、」
「? ザックさん、何かあったんですか?」
「いやな、特に何かがあった・あるって訳じゃないんだが、このところ
少しづつ魔物との遭遇頻度が上がってる様な気がするんだよ。そこに
3匹群れて行動していたゴブリンの報告だから、ちょっと気になってな。
まぁ、お前らなら3匹程度何でも無いだろうが、何があるか分からんから
明日以降も気をつけてな。」
「はい、ありがとうございます!」
その後、ノエルさんと軽い雑談をしてから帰宅の途についた。
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