第15話 イメージとの乖離

なんか凄い音がしてたけど、気を取り直して行くぞ!

身体強化発動、、、、魔力を巡らせて、、、途切れなく、、、

速く、、、速く、、、 よし!



「準備出来ました! いつでも行けます!!」


「よし、じゃぁ模擬戦開始だ。軽く打ち込むから、捌いて打ち込んで来い!」


「はい! よろしくお願いします!」


「いくぞ!!」



ハンスさんが中段に構えた剣で滑らかに俺の右手を狙ってくる。

俺の力じゃバックラーで防いでも体勢を崩されそう。

ここは左に回避して、ハンスさんの右手に反撃を、、、

それにしても、いくら模擬戦だからって、随分ゆっくり打ち込んでくるな。



ドン!!



軽い衝撃を伴う大きな音を発した一瞬の後、アレンの左側数メル先に

積んであった木箱類がバラバラになって崩れた。



「は?」 「ちょっ!?」 「・・・・・・・・・・・・・・・」


「・・・・ゲホッ、、、全力で回避しようとしたら、一瞬で

 突っ込んでました、、、」


「は、はは、ははは、、、正直笑えねぇぞ、、、 お前が踏み込んだ

 地面が抉れてるぞ、、、、 なんつう身体強化だよ!」


「まさか、こんな速さで移動できると思ってなかったので、

 回避して右手を狙える位置にとイメージしてたんですが、

 実際の移動距離と違い過ぎてまったく制御出来ませんでした、、、」


「お、おう、、。どうやら、模擬戦をやる前に、身体強化後の動きを

 馴染ませなきゃならない様だな。 今は本気の身体強化をしたんだろ?

 なら、その半分程度の強化具合で、自分のイメージ通りの動きが

 出来る様に訓練だな。 イメージと動きがしっかりリンクしたなら、

 身体強化の度合いを少し強めて、また馴染ませる。 その繰り返しで

 本気の身体強化を使いこなせるようになれ!」


「はい、分かりました、、、 ハンスさん、ありがとうございました。」


「しばらくは、アレンは身体強化後の動きを馴染ませる訓練、カレン嬢は

 引き続きイメージと制御の訓練だ。 ただし、やり過ぎるなよ?

 体力も魔力も有限だ。やり過ぎると、それが体に帰ってくるからな?」


「「はい。」」




~~~~~~~~・~~~~~~~~・~~~~~~~~・~~~~~~~~




「はぁ、、、まさか模擬戦以前に問題ありありだ、、、。15歳までは訓練って

 いうのはこういう事があるからなんだね。能力だけあってもダメなんだ、、、」


「本当ならもう少し楽に制御出来てたのかもしれないけど、授かった能力自体が

 バラバラになっちゃったからねぇ(笑) その分、努力しないとね。」


「うん、ホントそうだね。今は全然その能力を使えてないけど、強い力を

 授かっているのは間違いないから、その能力の持つ力を全て発揮出来る様に、

 頑張るよ!」


「同じく、私も頑張るわ。 強い魔法を使える能力があっても、実際はそれを

 発動する為の制御力が無ければ大変な事になるのが分かったから。

 絶対能力を使いこなして見せるわ。」



カレンの強い決意が伝わってくる。 俺も頑張るぞ!

まずは、軽い身体強化で動きを把握しよう。イメージ通りに動けるまで、

何度だって練習だ!


それから二人は、夕方になるまで訓練を重ねたのだった、、、




~~~~~~~~・~~~~~~~~・~~~~~~~~・~~~~~~~~




「アレン、起きて! 今日は学問所に行く日よ! 早く起きてご飯食べないと

 置いて行くわよ!!」



おはよう、カレン。今、俺は、カレンの頭の中に話しかけてます。

うん、届くはずないよね、、、、



「アレン? 何やってるの、さっさと起きて!! って、うわ!?

 起きてるなら早く着替えてご飯食べて、、、 アレン?」



はい、、、バッチリ目は覚めてます。覚めてるんです。ただ、動けないだけで、、、



「カ、カレン・・・・た、タスケテ・・・ 痛くて・・動けない・・・」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



はい、どうやら身体強化で激しい動きをした反動の様です、、、

強化の具合が強すぎて、10歳の体の限界を超えた動きを続けた為、

体中の筋肉が悲鳴をあげてます。イタヒ・・・

能力や技はもちろんの事、やっぱり体を鍛えないとフルの身体強化は

使えないみたい、、、いや、後先考えなければ使えるけど。



「・・・・・・前途多難ね。今日は一人で学問所に行ってくるわ、、、

 お父さんお母さんには言っておくね。」


「カレン・・・・」


「何? どうしたの?」


「トイレ」



何とか父さんに伝えてもらって、本日最大のピンチを脱したのであった。

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