第13話 前途多難

そう、そうだったよ、、、俺の前髪、、、、

カレンがまた泣きそうな目で、ハンスさんが

気の毒そうな目でみている、、、



「今日ギルドに来たのは、登録も目的だったんですが、発現した能力を

 確かめるのも目的の1つだったんです。 なので、まずは普通の魔法から

 確かめてみようとして、、、俺は発動すら出来ず、カレンは火が出過ぎて

 こんな感じになっちゃいました。」


「ふむ? 話だけ聞くと、二人ともまだ制御技術が未熟なんでしょう、

 と言いたいところですが、アレン君は回復の魔法をあれほど精密に

 制御していたのに、簡単な魔法が制御出来ないとか何かの間違いでは?」



言われてみれば確かに、、、俺は【精密魔力制御】の能力があるんだった!

じゃぁ、、、何故???



「カレンさんはカレンさんで、アレン君の髪を焼く位火が出たんですか?

 お二人とも規格外という事ですね、、、

 分かりました、ちょっと魔法を使ったところをこの場で見せてくれませんか?」



え、あ、いや、部屋が大変な事になっちゃいますよ?

カレンも不安そうな目でこっち見てます!



「ああ、ご心配なく、ちゃんと結界を張りますので、部屋が燃える事は

 ないです。まぁ、近寄り過ぎると髪は燃えちゃうかもしれませんがね。」


「んぐっ、分かっていればもう近寄りませんよ!! カレン、俺は大丈夫だから

 もう一回やってみせて。」


「う、うん、分かったわ、、、、「火よ灯れ」」



ゴォォォォォォ



「「「・・・・・・・・・・・・・・」」」


「う、ううぅぅうぅ、、、、、」


「だ、大丈夫大丈夫、カレン、大丈夫だよ。練習すれば大丈夫だよ!」


「な、なるほど・・・・ カレンさん、発動する時はどんなイメージで

 発動してますか?」


「? 火よ出ろー!って、、、、。」


「「「えっ?」」」


「えっ?」



カ、カレン、いくら俺でも分かる! 大雑把すぎるよ!!!

お料理以外、どうしてそんな大雑把なの!?



「そ、そうですか、、、 カレンさん、ロウソクです、ロウソク。

 ロウソクの炎はイメージ出来ますよね? ロウソクの炎を出すんだ

 というイメージでやってみて下さい。」


「ロウソクですか? 分かりました、、、、「火よ灯れ」」



ポッ  おおおお!カレン、それですよそれ!やったね!



「いいそカレン! やっぱり凄いな!」


「う、うん、ありがと、、、で、でも、、ぐっ、維持するのがキツ、、、あ」



ゴォォォォォォ



「「「・・・・・・・・・・・・・・」」」


「ま、まぁ、制御時間に難はあるようですが、カレンさんもお分かりになったと

 思いますが、魔法はイメージが大切です。 イメージに魔力を乗せ、それを

 制御する、、、この一連の流れを精密に出来る様に練習する事ですね。」


「はい、、ウォルターさん、ありがとうございました。アレンもホントごめんね。」


「うん、もう大丈夫だから。 カレン、家に帰ったら髪切ってね、、、?(笑)」


「分かった(笑) そのくらいは任せて。」



よし、これでカレンの元気も戻ったね!



「それではアレン君、あとは君だ。先ほど回復の魔法は使えたんだから、

 今なら火も灯せるんじゃないのかな? どうだい?」


「はい、やってみます。 ふぅ、、、「火よ灯れ」」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「「「「・・・・・・・・・・・・・・」」」」


「魔力の流れも感じる、、、でも、最後の最後で???

 まさか、カレンさんの様に大きな炎とならない様、無意識で

 制限して、、、という感じでもないねぇ、、、はて、、、」


「お、俺、魔法の才能無いんでしょうか、、、」



ショックショックショックだよ、、、



「いや、それは無いでしょう。ああ、才能が無いんじゃなくて

 無いという可能性は微塵も無いという事です。だって、先ほど

 見事に回復の魔法を使った実績があるじゃないですか。」



あ、そういやそうか。 じゃぁ、何故???



「ただ、火を灯せない事に関しては、私でもさっぱり分かりませんね。

 他の魔法はどうです? 水や風は??」


「「水よ出でよ」・・・・ 「風よ吹け」・・・・ 「土よ動け」・・・・ 」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「「「「・・・・・・・・・・・・・・」」」」


「う、うん、、、同じ様だね、、、 魔力の動きは感じているんだよね?」


「はい、、、魔力の動きも把握してますし、イメージもしっかり持ってます。

 でも、、、何も発動しません、、、」



俺、泣きそう、、、、



「う~ん、何かの原因があるんだろうけど、、、魔力の流れは分かるなら、、、

 そうだ、身体強化をしてみようか? 魔力をゆっくり体中を巡らせるんだ。

 魔力を巡らし、巡らした魔力を一つの輪の様に切れ目なく循環させ続ける、、、

 肌を鋼の様に強く、筋力をより強く、感覚を研ぎ澄まし反応を早くする、、、

 そんなイメージで出来ますか?」


「は、はい、やってみます。」



体の真ん中に魔力を感じる。 ゆっくり動かしていく、、、

腕へ、、、指先へ、、、胸の方まで戻して、、、頭の方へ、、、

そうやって足先まで、そして戻ってくる。 最初はゆっくりと、、、

少しづつ速く、速く、、、途切れない様に、、、速く、、、



「おお、、、そうですね、ハンス、木剣はありますか? ああ、ありがとう。

 それではアレン君、軽く打ち込みますので、受け止めてみて下さい。」



うう、痛そうだけど仕方がない、、、 「ど、どうぞ。」



「それでは、、、はっ!!」



ちょ!どこが軽くだよ!! 咄嗟に左腕を上げて防ぐ! 痛っ、、、くない?



「ははは、初めて使ったとは思えない、素晴らしい身体強化ですよ!

 アレン君、君はやれる事に偏りがあるようだね。何故かは分からないが。」


「やれる事から訓練してもいいんじゃねぇか? 明日、俺が見てやるから

 アレンは身体強化、カレン嬢は制御訓練でもしてみたらいいんじゃねぇか?

 駆け出し・見習いの冒険者用の講習会は、残念ながら来週だ。それまでは

 それを訓練するって事で。」


「ハンスさん、、、わ、分かりました。

 ウォルターさん、ありがとうございました。」



ウォルターさんハンスさんにお礼を言い、今日は二人でとぼとぼ帰る、、、

色々能力を授かった訳だけど、これは前途多難だ、、、訓練が必要なのが

良く分かったよ。凹んでても仕方ない、気持ちを切り替えて、

カレンと二人、明日から特訓だ!

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