第12話 秘匿事項
コンコンコン
「ギルド長、ハンスです。」
「どうぞ。」
「失礼します。」
おじさんに続いておずおずと入室する。何がどうなってるやら、、、、
大きな机に立派な椅子、、、 深く腰掛けて何かの書類を見ている人がいる。
あ、この人エルフだ。
「どうしました? そちらの二人は?」
「はい、、、この二人は、今日冒険者見習いとして登録した二人なんですが、
実は、この二人に関して相談がありまして、、、、」
「ふむ? 何やらあったようですね、、、?
はじめまして、私が当冒険者ギルドでギルド長を務める
ウォルター・アダムズです。」
「そして俺が、ギルドの見習いや駆け出しに対して教育や講習会、
訓練の相談役なんかをしているハンスだ。ハンス・ブルグミュラー。」
「アレン・ブラットフォートです。」「カレン・ブラットフォートです、、、」
なんかまだカレンが元気ないね。
「おや、もしかしてブラットフォート雑貨店のお子さんですか?
当ギルドも、お母様のポーションにはお世話になってますよ。
さて、今日はどんな御用で、、、? ハンス?」
「はい、実は・・・・・・・・・・・・・・・・・
おじさ、ハンスさんがついさっき起こった事を説明してくれる。
「回復の魔法、、、、ですか。正直、信じがたい事ではありますが、
ここに連れてくる位ですから、冗談ではないんですね。ふむ、、、」
!?!!??
ウォルターさんが自分の腕をナイフで切りつける!?
「ちょっ!?」「なっ!?」「!!」
「どうです、治せますか?」
「は、はいっ! 「ホ、ホーリーヒール」」
ウォルターさんの腕が柔らかな光に包まれる。
「おおおおおお、これは、、、、痛みも傷もなくなりました。
魔力の動きも感じましたし、神官の起こす御業では無いようですね。」
「ギ、ギルド長、何も言わずに心臓に悪い事はやめてください!!」
「確かめるのに手っ取り早いですからね。おかげで真実である事が
分かりました。そしてハンスが言いたい事も、、、」
「アレン・ブラットフォート君。」
「は、はい、、、」
「君の能力は危険だ。」
「えっ!? なっ、、、、」
「ああ、いやいや、君に発現した能力が危険だという意味では無く、
あまりに貴重な能力なので、君の身が危険になってしまうという事だよ。」
「え、、、、」
「冒険中に傷を負った場合、小さい物ならそのままだけど、戦闘に不都合な
傷ならポーションを使う。君もよく知ってる事だろう。
大きな怪我や病気なんかの場合は、神殿の神官に頼ることになるね。
しかし、君に発現した能力は、魔力のみで傷を癒している、、、」
「これがどういう事だか分かるかい? 大きな戦闘を行う場合、戦闘で負った
傷を癒すためにポーションの準備をする必要がある。その数次第で継戦能力が
変わってくる。それが、たった一人の人間がいるだけで、魔力が続く限り
傷を癒せる。神に願う神官は、大きな傷は癒せても何度も御業を行える
ものでは無いのに、君は魔力のみでその制限を超えてしまうんだ。」
「君の能力が知られてしまうと、力づくでも自分の配下に加えようとする者が
現れても全然おかしくないんだよ、、、
君が危険に晒されない様に、自分で自分を守れる程強くならない限りは
君のその能力は絶対他人に知られてはならない。」
な、なんてこった、、、凄そうな能力だとは思ってたけど、
これじゃ普通に使えないよ!
「せっかく能力が発現したのに、身を危険に晒してしまう様な能力の場合、
これからどうやって成長すればいいんですか、、、」
「そこは安心してください。当ギルドに現れた期待のホープです。
知らない所で鑑定道具でも使われたらことですので、ギルド所有の
鑑定阻害アイテムを貸与します。そうすれば、君が迂闊に能力を使わない
限り、回復の魔法の能力を発現している事が露見する事はないでしょう。」
「そして、成長に関してですが、私が見たところ、先ほど魔法を使った時、
魔力の動きを見ていましたが、その緻密な魔力制御力は能力が発現したてには
到底思えない程見事なものでした。強いて言えば、言葉を発する事無く魔法が
使えれば、あなたの魔法の性質上、何か緊急な時・どうしても使わざるを
えない時、何とか使える可能性も出てくるかもしれませんね。」
「その為の練習なら、誰にも見られないあなたの自室で出来ると思いますよ。」
ちょっとホッとした。俺達は成長しなきゃならない。俺達が成長して世界の危機を
救わなければ、大変な事になっちゃうしね!
「よ、よかった、、、でも、、、そんな貴重そうな物、お借りしていいんですか?」
「ええ、当ギルド所属の冒険者見習いですし、期待のホープです。
もちろん、ギルド・もしくはこの街に何らかの危険が迫った場合は、
君が持つ力を奮って貰う事になるかもしれません。ああ、先ほど言った様な
非人道的に回復させ続けるような事は間違ってもさせませんので、その辺は
安心して下さい。」
「わ、分かりました。よろしくお願いします。」
「ええ、こちらこそよろしくお願いします、アレン・ブラットフォート君。」
「ところで、、、」
「はい?」
「どうして髪がチリチリなんだい?」
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