第11話 焦げる

扉をくぐると、思っているよりさらに広い訓練場の全容が目に飛び込んでくる。



「うわぁ、外から見た感じより、中は更に色々あるね! あ、あっちに

 魔法訓練出来そうな場所があるよ! カレン、行ってみよう!!」



という事で、やってきました訓練場! 生まれて初めて魔法を使う瞬間が

やってきました! まずは攻撃魔法ではなく、誰もが使える魔法がどんな感じか、

そこから確かめる予定だよ! その割にはテンション高いって?

そりゃそうでしょ!魔法使える様になったんだから!!

まずは、隅の方の場所を借りて、少しづつ確かめていくよ!



「じゃぁじゃぁ、俺から行ってみるね! まずは、、、「火よ灯れ」」



まずは簡単な火をつける魔法。色々な場面で使える、生活に欠かせない魔法だ。

別に呪文を唱える様な事はしなくていいんだけど、自分が成そうとする事を

イメージし、精神を集中する為に言葉にする。初心者だしね。


・・・・・・・・・・・?


あ、あれ? 魔力の流れも事前に掴んでいたから、後は意思を込めるだけ

だったんだけど、あれ?



「なんか失敗しちゃった(笑) 初めてだと結構難しいものだったんだね。

 じゃぁ、気を取り直してもう一回。 「火よ灯れ」」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「「 ???? 」」



あれ~? 上手くできない?? 魔力の流れは確かに感じるんだけど、、、何で??



「まぁ、最初だと難しいのかもしれないわね。アレン、私がやってみるから

 よく見てて。私なら大丈夫だと思うわ。」



カレンは【マスターファイア】という凄い能力が発現してる。きっと火の魔法に

関して何の問題も無く発動しちゃうだろう、、、、

あ、ちなみに、流石に4つのマスタークラス発現はマズいよね?って事で、

ウィンドウを操作して、道具で見られても、【マスターファイア】だけが見える様に

変更してあります。4つはマズいよね、4つは(笑)



「じゃぁいくね、よく見てて。 「火よ灯れ」」



ゴォォォォォォ



カレンの指から5メル位の高さまで火が噴き出す!! 

ぎゃああああああ  何、熱っ、あっつううううう!?



「キャアーー!!!!!??!??? ア、ア、アレン!? か、回復、回復!

 回復魔法自分に掛けて!!!!」


「あっつ、あっつぅぅうう、、、「ホ、ホーリーヒール」・・・・・・」



柔らかな光に包まれる・・・・ あつ、、、、くない?

おお、熱くなくなった!! 顔を触って確かめる、、、、だ、大丈夫、、だよね?



「あ、あ、あ、、、アレン、良かったぁ、、よかったぁああ、、、、」



カレンが泣きながらへたり込む、、、腰、抜けちゃったみたい?



「おいおいおいおい!!! 何があった!? 大丈夫か!!」



奥の方にいたおじさんが、慌てて駆け寄ってくる。



「た、たぶん大丈夫です。今日、初めて魔法を使ってみたら上手く

 いかなかったので、火系の能力を持つ妹なら上手く火を出せるだろうと

 思ったんですが、、、 予想以上の大きなのが出ちゃったみたいで、、、」


「ありゃ火なんてもんじゃなくて、もはや火炎、攻撃魔法みたいなもんだったろ!?

 大丈夫な訳ないだろ、、、、って、大丈夫っぽいな、、、、髪と服以外は、、」


「はっ!? 焦げくさっ!?!!? あ、あっ!? 髪、前髪が、、、」



前髪がチリチリになっちゃったよぉぉぉぉおおお!!???



「髪だけじゃなく。体も気にしろよ、、、まぁ大丈夫だったようだが、、、

 あれだけの炎で髪も服も焦げてんのに、体は大丈夫ってどうなってんだ??」


「はあ、それは、俺が回復の魔法の能力が発現したからですね。初めてでした

 けど、なんとか使えたみたいです。カレン、カレン?大丈夫??」



呆然としていたカレンを助け起こす。大丈夫だよ?髪と服以外は、、、



「はぁああ? 回復の魔法??? 何の冗談だ?(笑) 御伽噺じゃ

 ねえんだから、、、 あ、おまえら、ブラットフォートさんの所の双子か??

 ポーション持ってたんだろ?ナタリアさんのポーションは優秀だからなぁ。

 お母さんに感謝しとけよ?」


「い、いや、冗談でもなんでもなくて、ホントに魔法なんですって!

 う~ん、そうだな、、、あ、そこのお兄さん!!」



模擬戦をやっていたお兄さんが、丁度?撃ち込まれて腕を打撲したっぽい?

それを治して見せようじゃないの!!



「何だ、坊主? 今、真剣に訓練してんだから危ねぇぞ! あ、ハンスさんも。

 ちょっとどうしたんすか?」


「あ、ああ、スマン。ちょっとこいつらg


「お兄さん!! 今、腕を打撲したでしょ? 治してあげるね!!」


「はぁ? 確かに打ち込まれて打撲はしたかもしれねえけど、身体強化してたから

 ポーション使う様な怪我はしてねえz んなっ!?」



お兄さんが答える前に、勝手にホーリーヒールを発動してみる。

うん、上手くいった! 赤くなっていた肌が元に戻り、腫れも引いていく。



「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」


「ね? 嘘じゃないでしょ? 能力が発現したばっかりだけど、

 上手くいってよかった(笑) 火を出そうとしても上手くいかなかったから、

 ちょっとドキドキしてたんですよね~。 はぁ、よかtt


「待て。 ちょっと待て。・・・・・・・・・・今の見てたのはここにいる

 5人だけだな、、、、 スマンが、お前ら二人は今の件に関して何も話すな。

 怪我もしてなかったし、何も見なかった。 これは、ギルド長案件になる。

 いいな?何も見なかった。 双子もスマンがちょっと来てくれ。今から

 ギルド長と話しをしなきゃならん。」



あ、あれ??? なんか大事になっちゃった???

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る