第10話 恩恵

俺、アレン・ブラットフォート10歳。今、カレンと一緒に街の冒険者ギルドに

向かってます。 昨日、アドミニス神殿での発現の儀から帰ってきたよ!

何か、思ってたのと違う方向にぶっ飛んだ感じだけど、冒険者になりたい!って

夢は、夢の方から近寄ってきたみたい。



「ふぅう、いよいよ冒険者としての第一歩だね!」


「アレン、落ち着いて? 私たちの歳だと、1年は見習い期間みたいよ?

 ギルドに通って、色んな事を学ぶんだって。」


「えぇ!? そんな事するんだ、、、、」


「うちに買いに来てる冒険者の人が教えてくれたわ。いくら強い能力を

 発現しても、戦い方が分からなかったら何も出来ないでしょう?

 キャンプの仕方が分からなければ、外で過ごす事も出来ないし。

 覚えなきゃならない事はたくさんあるわね。」


「た、確かに、、、」



俺、敵をバッタバッタ倒す事しか考えてなかった。ちょと恥ずかしい、、、

そんな話しをしていると、街の冒険者ギルドが見えてきた。


とても大きな施設だ。入口の建物はこじんまりしてるけど、訓練を

行えるような設備が併設してある。



「おい!」



ビクッ 入口から中をうかがってたら、急に野太い声が、、、、

ううぅ、こえぇえええ。 ガキが来るところじぇねぇえ!とか

言われちゃうのかな、、、



「おまえら、ブラットフォートさんとこの双子だろ? なんだ、何か

 ギルドに用があるのか? あそこに見えるのがギルドの受付だ。

 俺もギルドに用があるから、ほれ、一緒に行くか?」


「「は、はい!」」



野太い声にいかつい見た目、、、勝手なイメージで判断してごめんなさい、、、

とってもいい人だった、、、



「おう、マライア、この二人がギルドに用があるみたいだぞ。」



いかついおじさんは、入口の人にそう声を掛けると奥の方に歩いて行った。



「「あ、ありがとうございました!」」



振り返らずに、手を挙げてヒラヒラさせながら、奥の扉をくぐっていった。

ちょ、カッコいいじゃない! 顔怖かったけど。



「ここは冒険者ギルドだよ。今日は何か用事があって来たのかい?」



猫獣人のお姉さんが声を掛けてくれる。この人がマライアさんなのかな?



「は、はい。今日は二人で冒険者登録をしにきました!」


「よく来たね! あたいはマライア。冒険者ギルドの受付と窓口をやってるよ!

 今は丁度すいてるから、あの奥の人のところで登録してもらってくれ。

 お~い、ノエルさん、この二人の冒険者登録してやって~。」


「了解、二人とも、こっちにいらっしゃい。」


「「はい、ありがとうございました。」」



マライアさんにお礼を言って、奥のお姉さんのところに移動した。



「あら、あなたたちはブラットフォートさんのところの子達ね。

 はじめまして、私はノエル・ローランサン、ギルドの窓口を担当してるわ。」


「はじめまして、俺はアレンです。こっちは妹のカレン。今日は冒険者

 登録にきました。」



さっきのおじさんもそうだけど、この人も俺達の事知ってたみたい。

カレンはよく母さんの手伝いしてたから、うちを利用する人には

見られてたのかな?



「さっきのおじさんもそうですが、俺達の事知ってるんですか?」


「ふふ、そうね。名前は知らなかったけど、この街の冒険者なら

 多かれ少なかれナタリアさんのポーションにお世話になってるから。

 私も、お店の手伝いをしているところを見かけたことがあるわよ。」



父さん母さん、二人のおかげでみんな優しいです、、、、



「二人は発現の儀を終えたのね。年齢は10歳でいいのかしら?

 成人を迎えるまでは、ギルドに登録しても1年は見習いとして色々

 覚えてもらう為に通ってもらう事になるわ。それでも登録するの?」


「はい、ここに来る前に、アレンにもそうしなければならない事を

 教えてあります。ノエルさん、登録をお願いします。」


「分かったわ、カレンちゃん。アレン君とカレンちゃんを冒険者見習いと

 して登録するわね。ギルドカードが出来るまで少し時間が掛かるけど、

 今日はどうする? おうちに帰って、明日にでも取りに来る?」


「今日は訓練場を貸してもらってもいいですか!? 能力が発現してから

 まだ力を使ってないので、どこかで練習したいんです!」


「入口の受付から左奥に進むと扉があるわ。その先が訓練場になるから、

 好きに使ってもらって大丈夫よ。 分からない事があったら、訓練場に

 ハンスっておじさんがいるから聞いてみて。 二人とも、気を付けてね。」


「はい、ありがとうございます! 行ってみますね! カレン、行こう!」



ノエルさんにお礼を言い、いそいそと訓練場に向かう。

初めて魔法を使う瞬間がやってきたよ!! なんかワクワクするね!

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