第3話 女神アドミニス

 『私はアドミニス。 女神アドミニスと呼ばれるものよ。』



噛んだ。今噛んだよね? しれっと続けたけど、今噛んだよね??

私にメンタル強いとか言ってたけど、女神様の方がよっぽど強いんじゃないの?



 『かつて、私は4つの世界を創りました。私の存在するこの地エデンから

  近い順に


  第1霊界 ミカエル

  第2霊界 ラファエル

  第3霊界 ガブリエル

  第4霊界 ウリエル


  と名付けました。私の存在に近ければ近いほど魔素濃度が高まるため、

  第1霊界ミカエルと第4霊界ウリエルではだいぶ世界が違っています。

  たとえ違いはあれど、どの世界も、緩やかな時の流れの中で発展し、

  生命が健やかに、幸福に続いて行く事を願い世界を創ったのです。』


 『破綻が無い様、大きな時の流れに対して、人々の選んだ選択が影響を

  及ぼす事が無い様に、世界を創造したはずでした。』



今、はずって言った? どういう事? 神様なら、そうしたいならそう

出来るんじゃないの??



 『各世界には、大きな時の流れを管理する存在があります。オーブと呼ぶ

  管理機構を置いているのです。何故、そんな物を置いているのか、、、

  神と呼ばれるものがいるなら、直接管理をすれば良いのではないかと

  お思いでしょう。私は、全知でも全能でもありません。持てる力には

  限りがあるのです。』


 『オーブが機能し、世界に生命が満ちていきました。しかし、私は

  生命が持つ【意思の力】という物を見誤っていました。』


 『文明を発展させようとする意志、、、それはとてもとても強く、

  私が想定していた時の流れから逸脱しそうな瞬間が現れる様になりました。』


 『その瞬間、私が想定した時の流れを守る世界が取らなかった選択肢、、、

  大きな時の流れから逸脱する程の重要な選択をした世界、意思の力で文明を

  発展させていく別の世界が出現したのです、、、』


 『私は呆然としました。私の創ったシステムなのに、私の意志とは

  関係なく新しい世界が創出されたのです。時が経つにつれ、元の世界とは

  まったく違っていく世界。元の世界とは決して交わらない並行世界。

  そんな世界が、各霊界に少しづつ増えていきました。』


 『それでも、元は私の創った世界に違いはありません。並行世界にも

  オーブは存在している様です。ただ、どの様に定められているかまでは

  分からないのです。私には、並行世界に満ちる生命も、健やかに、幸福に

  続いて行く事を願う事しか出来ませんでした。』


 『ですが、その願いも叶わない状況になりつつあります。第1霊界ミカエルの

  唯一の並行世界に崩壊の危機が迫っています。 第1霊界は魔素の豊富な

  世界です。誰もが魔法と呼ばれる力を使え、その力で自分を家族を守り、

  文明を発展させ、生命の営みが続く世界です。』


 『その魔素が豊富である世界から、急激に魔素が枯渇しようとしています。

  魔素が枯渇してしまえば、生命の営みはもちろんの事、その世界すらも

  崩壊しかねません。』


 『あなたなら、私の創造したシステム外の存在であるあなたなら、世界の

  大きな流れに干渉せずに、この大いなる危機を救う事が出来るはずです。

  このシステムで生まれた存在では、世界が崩壊しかねない問題に触れてしまうと

  新たな並行世界を生む原因になってしまいます。』


 『頼めるのはあなただけなのです! どうか、どうか力を貸してください!!』


 『ご清聴ありがとうございました。第1部完。』


『いやいや、勝手に呼び出して勝手に終わらないで!? 神様なら、自分でなんとか

 出来ないの?? 出来るでしょ??神様なんだから!』


 『先ほども言いましたが、私は全知全能ではありません。自分で創造した

  4つの世界でさえ、過度の干渉は出来ません。特に私から遠い第4霊界など

  ほぼ干渉出来ない位です。尚の事、私が創造したものでは無い並行世界と

  なると、まったく私の力が届きません。』


 『私は、私の創造した4つの世界を管理するもの。なので、この地を

  離れる事が出来ません。そして、並行世界には私の力も届かない、、、』


『神様でも出来ない事があるのね、、、、』


 『私はあどみにしゅ、、、アドミニス。女神アドミニスと呼ばれるもので

  あっても、けっしてあなた方の概念にあるような【神】と呼ばれる存在

  では無いのです。呼ばれているだけなのです。』


 『あなた方人類は、どのシステムのどの世界でも、自分が理解できない高位の

  存在を【神】と呼ぶのですね。どのシステムのどの世界でもですよ??

  何なのでしょう?どうしてなのでしょう?神様なの?神様が仕組んd


『お、お、落ち着いてくださいアドミニス様、、、 何故私なのかは、何となく

 分かりました。納得は出来てませんけど。』


 『あなたの意志を無視してこちらに連れてきた事は謝ります。あなたの様な

  強い意志の力を持つ者が必要なのです。どうか、どうか力を貸して

  下さい、、、』


『ん~~~~、、、、、、 はぁ、、、、 どうせ、あっちの私って死んじゃってる

 んでしょ? やりたい事あったのになぁ、、、、辛かったけどさ。

 いいよ、分かったわよ。 やるよ、やりますよ。やればいいんでしょ!!』


 『ありがとうございます、藤島カレン。あなたが問題を解決出来る様、私に

  出来る限りの力を授けます。


   並行世界に移動できる力:トラベラー

   神の代行者としてオーブを操作する力:プロキシー

   能力を生み出す力:クリエイト

 

  戦うための力も必要よね、、、、、


   全ての魔法を制御下に置く力:ドミネイトマジック

 

  一応、武器も使える様にしておく? 剣でいい? 剣でいいよね??


   全ての刀剣類を自在に扱う力:ドミネイトソード


  これが私に出来る精一杯よ! どうか、どうかお願いします、藤島カレン。』


『な、なんか大盤振る舞いね、、、、』


 『世界の危機が迫っているのに、出し惜しみしている場合ではありません!』


『それもそうね、、、分かったわ、出来る限りやってみるよ! 世界の危機を

 救ったら、あっちでやれなかった人生の続きをやってみせるわ!』


 『それでは、第1霊界ミカエルに転生してもらいます。10の歳を迎えた時、

  能力が発現する様になります。そこから身体の成長に伴い、幼い体を破壊しない

  様に制限されている力が、徐々に開放されていくと思います。15の歳で成人を

  迎えたなら、トラベラーの力を使って並行世界にいd


『ちょちょちょっと待って!?? 私二十歳なのよ??? 赤ちゃんから

 やりなおすの!?? それは無理よ!! まtt


 『それでは藤島カレン、頼みましたよ?』

  


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20211217 並行世界の説明をより詳しく書き直しました。

20220209 表現の修正を行いました。

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