第18話
「一週間でかなり成長したね。」
筋肉はさすがに増えていないが身体強化の出来と剣はかなり振れるようになってる。
道門と互角とは言えなくてもそれなりに戦えるようになってる。
飲み込みが早いな。
これまで、ずっとF級だったのは2年間だれも強くなる方法を教えてくれなかったからか?
しかし、まあ本当に……いい!!!
道門と木刀を打ち合う姿。
汗を流して、必死な顔。
その中で身体強化の精度を上げる為の集中力と意識力!!
それに、武器の強化もできるようになってる。
木刀に適した魔力量を流してかなりの強度が出ているのがわかる。
道門と晶の木刀の接触時に火花が散る。
本当の鉄の剣で撃ち合ってるようだった。
「この一週間で本当に強くなったな。」
「いえ、まだまだです。」
身体強化と武器強化の並行処理はかなり難しい。
特に武器強化が要求する集中力の消耗はかなりのものだった。
適した魔力量をコントロールしないと木刀は木っ端微塵になってしまう。
魔力が多ければ自壊し、少なければ道門さんに砕かれる。
身体強化は魔力総量が道門さんより少ないから移動の時は足、攻撃の時は腕に多く魔力回さなければいけなかった。
「もうあと五分!
集中力を切らすんじゃないぞ!」
「はい!」
再び、二人の激しい撃ち合いが始まる。
それを見て僕はニヤニヤが止まらなかった。
なぜなら、晶が成長しているのが嬉しかったから。
それと晶の魔法はおもしろいからだ。
武器を通しても吸収可能なのか。
道門が剣に纏わせている魔力を打ち合う度に吸収しているな。
道門の方が撃ち合いの時はしんどそうだ。
そのおかげで木刀の耐久値が残っているのは晶の方。
吸収率は5割から6割くらいだな。
ただ、まだ吸収して増えた魔力は瞬時に身体強化に割り当てられず放置ぎみ。
それに激しく動けば吸収した魔力の逃げもかなり速い。
還元率は1割から2割ほどしかない。
「どう教えたものかな。」
「珍しくお悩みですね。
いつもみたいに適当にやれば済むのではないですか?」
「北川さん。
僕がいつも適当にやってる様に言うのやめて。傷ついちゃうでしょ。」
「そうですか。」
もう、ほとんど話を聞いていないのだろう。
打ち合う二人を見ている様だが上の空。
お金以外に興味を示さないこの子らしい。
「いつもはこの目で見れば成長の方向性を示せたけど晶は見えないからさ。」
「それは黒田社長の怠慢ですね。
魔眼に頼って普通に教える事の大切さを疎かにした罰ですよ。
当分、その眼は使うの控えてはどうですか?
まあ、それをなくしたらただの器用貧乏に成り下がるかもしれませんが。」
「厳しい意見だ。
でも、実際にこの眼に頼りすぎだね。」
魔力の動き。
筋肉の僅かな動きは視覚化して見える。
思考パターンなんかも感覚的にだがこの眼を使っている時は手に取るよにわかってしまう。
それがモンスターであっても。
視界に入るものは全て僕の手の上。
それ故に最強なのだから。
「頑張ってみるよ。」
「頑張ってみる人はもっと辛そうな顔をするものですが社長はとても楽しそうですね。」
「そりゃね。
とっても楽しいよ。
未知というのはいつだってワクワクする。
北川さんは違うの?」
「はい、残念ながら私が望むのは安定です。」
「ふーん。」
普通の人は口では安定を望んでいると言うが本音は良い方の変化をずっと望んでいる。
しかし、北川さんの思考は良い方にも悪い方にもなく本音で現状維持を望んでいる。
常に刺激が欲しい僕とは相容れない存在そうに見えて以外と相性がいいのもおもしろい。
まあ、この前『僕達相性抜群だね。』っと言ったら『気持ち悪いのでやめてください』と言われたけど。
「はああああ!!!」
晶の気合の入った声が響く。
「……あんなに木刀に魔力込めたら。」
ボンッ!
鈍い音が響いた。
晶の木刀が木っ端微塵になる。
「道門!きゅうけーい!」
そう叫びながら二人の元に歩く。
「晶、気を抜いたね。傷を見せなさい。」
木刀の破片が手に刺さっている。
手の他に目立った外傷はなさそうだった。
だが、木刀の破片できた傷以外に手に血豆ができていた。
「よく頑張ったね。」
晶の手に自らの魔力を流した。
「黒田先生は回復魔法もできるんですね。」
「まあね。
でも、普通の回復魔法とは違うよ。
早くて外傷だけじゃなく病も体力も何もかもを治してしまうスーパーな回復魔法だよ。」
……本当にすごい。
日和さんの回復魔法とは比べものにならない。ほんの数秒で外傷は無くなってしまった。
それどころか、失っていた魔力も体力も回復して身体は万全の状態そのものになっている。
「道門も回復させたけど休憩はとりなよ。
気力までは僕の魔法でも回復させられないから。それと、龍衝のコツも教えてくれない?」
「それはまだ速いのではないですか?」
「うーん、確かに速いけど動画見ても魔力を一点に集中させる事はできてるみたいだからもしかしたらがあるかも知らないでしょ。」
「わかりました。教えてみます。」
「うん、お願いね。」
広間の隅に置いてあった水筒を取りに行く晶の後ろ姿。
「どれくらい強くなったかな?」
そろほろ、出来次第ではBチームに入れてもいいかも。
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