お猿さんと、ポタージュ(5) 黒猿の、ていおう

21、黒猿


 どおん! どおん! どおーん!

 わー! わー! わー!

 轟音。喚声。悲鳴。

 『丘の街』正門の、でっかいアーチに、打ち寄せる。


 ・・・その、正門上にて。

「どっから出したん? その剣」

「さあなァ?」

 2人の武将が、睨み合っておった。


 こなた、茶のダークエルフの女。

 茶色の肌した美人剣士である。山羊の革張った盾かまえ、青銅のヨロイも輝かしく、朝の山風に白い絹ぐものマントひるがえす。

 その姿の凛々しいこと! まるで、物語から抜け出たかのごとし。

 『三日月の姫』と歌われ、人気が出るのも、納得!

 そう! あのルーン嬢。

 いまや『新生アルス軍』司令官!

 オレンジに光る剣、右頬にかまえ、淡い金色の瞳が照り映えておる。


 かなた、ヒューマンの男武将。

 ぼっさぼさの髪に、ドロドロに汚れた革のヨロイ。かぶとだけ、青銅。しかしこれもドロッドロ。

 背高く、腕長く、眼光するどく、まがまがし。まるで、黒き猿のごとし。

 黒猿の武将!

 盾は持たず、代わりに剣を2本持っておる。

 その、2本の剣──


「訊くのは、そこじゃねーだろァ?」

「ん?」

「こう訊くところじゃねーか?

 『どうしてグレイスが、2本も』って」

「・・・!?」

 ──そう。

 黒猿の武将のかまえる、二刀。

 それは、ルーン司令官の神剣“グレイス”に、瓜二つだったんである!

 オレンジの煌き(きらめき)も、流れるがごとき優雅な刀身も、柄拵え(つかごしらえ)も、風格までもが・・・。

「へっへっへ、やっぱ、そうかァ。

 神剣“グレイス”ってわけだァ!

 で、あんたは『三日月の姫』、ルーンお嬢さんだな」

「下調べは済んどるっちゅうわけやね」

 ルーン司令官は、冷や汗垂らしつつ、敵を睨んだ。

 敵の矢が、びょおおお、びょおおお・・・と、嵐のような音を立て、頭上を飛び越してゆく。

 敵の足音が、ど、お、お、お・・・と、怒濤のごとく、足元を抜けてゆく。

「防げ! 防げ!」「敵を通すな」「押しとどめよ!」

 ハイエルフ歩兵が叫び交わしておる。

 その声には、ルーン司令官の知り合いの兵士2人も含まれておった。

「なにくそ。一歩も通さぬ! ぐえー!」「これでもくらえ! ぐわー」

 2人の悲鳴も、争乱の中に消えてゆく。

 またルーンの背後でも、知り合いの声がしておった。

「守れ! 守れ! ルーンを守れ!」

 鈴打ち鳴らすがごとき、女の美声。ダークエルフ兵を、鼓舞する。

「守れ! 守れ! アルスの希望!

 我らの女王を、守り抜け!」

「うおおお」「やったらああ」男どもの吠え声。「ぼけくそ死ねおらあ」「あほんだらぁ」「去ね(いね)こらあ」


「・・・おまえ、女王なのか?」

 黒猿。

 首ひねり、ルーンに訊いてきた。

「ちゃう。司令官」ルーン、ちょっと赤くなる。「──で、その剣、どっから出したん?」

「それァ、秘密だ」黒猿、笑う。「『秘密の剣』ってわけさァ、三日月の姫」

「・・・いったい、何が目当てで、こんな無謀な戦を」

「無謀っておめー、負けかけてる側のセリフかよ?

 戦の目的なんざァ、決まってんじゃねーか。

 土地、飯、金、女だよ」

「そんなん、山賊と一緒やんか」

「はっ! エルフはこれだからなァ! すーぐ綺麗ごと抜かしやがる」

「綺麗ごとやないわ!

 同胞がひどい目に遭うの、見たない(見たくない)。

 だから、相手にもそんな目は見せんようにする。それだけのことやん。

 なにが綺麗ごとよ!」

「む!」

 黒猿の武将。

 意外にも、素直な顔をした。

「それァ、そうだな。

 自分の群れが、飢えたり凍えたりすんのは、見たくねえ。

 それァ、そうだ」

「・・・あんた、どういう人なん? 名乗り聞いてへんけど」

「おう? この俺さまに、名乗れってか。

 なーんも調べてねーのか? おまえら。

 ま、いいぜ。名乗ってやらァ」

 黒猿。

 いったん二刀の切っ先下ろし、すーっと背伸ばし、見下ろすがごとく、言うて来た。

「俺は、猿」

「さる?」

「おう。『猿』と呼ばれてんだ。

 で、身分だがな。

 帝王だ」

「は?」

「帝王だ」

 黒猿の武将。

 汚れた革のヨロイの胸張って、言い放った。

「俺さまこそ、『猿の神の湖の帝国』の帝王!

 ヒューマンどもを率いる、王さまってわけよ!」


22、黒猿の、ていおう


「・・・あんた、総大将やったん?」

「おう。そうは見えねえか?」

「あ、いえ。失礼しました」

 ルーン司令官も、いったん神剣“グレイス”の切っ先を下ろした。

「うちは、ルーンと名乗るもの。

 『新生アルス軍』の司令官をやっとります」

「生まれはキノコ農家だってな? エルフにしちゃ、柔軟だよなァ」

「侮るんなら、好きにしたらええんちゃう?」

 ルーン司令官。

 グレイスの切っ先を、上げた。

 黒猿の武将。

 応じて、二刀をかまえた。

「ばかにしたわけじゃねーぜ?」

 じり、じり。

 2人のつま先、動き始める。

「ルーン司令官。あんたにチャンスをやろう」

「チャンス」

「その神剣を、俺さまに献上し、『降参します』って宣言しな。

 したら、あんたも、その塔ン中でがんばってる仲間も、生命は助けてやろう」

「それ、陛下のお決まりの手順なん?」

「あァ?」

「洞窟マンションでも、それ、言うたらしいやん?

 犬の女神さまが」

「・・・ああ」

 黒猿の帝王、鼻面をかいた。

「あの女神さまァ、俺の真似しやがるからよ」

「こっちの答えも一緒です。

 山賊おことわり。いぬ、おことわり。さるも、おことわりですわ、陛下」

「・・・女は斬りたくねーんだがなァ」

「いきますで!」


 陽光のごとく切り裂く、神剣“グレイス”!

 迎え撃つは瓜二つのオレンジ剣、余裕のパリィ(打ち払い)!

 がきん!

 此方彼方、瓜二つの剣、がっちり噛み合い、鍔迫り合い(つばぜりあい)!

 黒猿の帝王、のしかかる! ルーン司令官、力比べを嫌って、素早く後退!

「ありえぬ!」

 神剣“グレイス”、しゃべった。

「こやつの剣。我が『断つ』のルーン、相殺しおった・・・!」

「パチモン(にせもの)じゃねーこたァ、わかったろ?」

 と、黒猿の帝王。

「さ、降服しな。万が一当たっちまったら、綺麗なお顔も台無しだ」

「おことわりや! っちゅうてます」

「・・・俺に勝てると思ってんのか?」

「陛下が、めっちゃ手加減してらっしゃることは、私にもわかります。

 そやけど、うち、あきらめへん」

「なんでだァ?」

「仲間が居るから」

「・・・仲間?」

 黒猿の武将は、戦場を見渡した──


 正門は、陥落寸前である。孤立し、包囲されておる。

 水門は、陥落。まだ防衛部隊が粘っておるが、ヒューマン兵が市内にじわじわと入ってきておる。そのヒューマン兵が、市内のあちこちに張り巡らされたバリケードに迫り、ハイエルフ義勇兵と戦闘を開始しておる。

 第三の門。『森の門』と呼ばれる通用門であるが、ここだけは健在であった。『巨人の国』が防衛しており、攻撃も受けておらぬ。

 まったくもって健在の巨人軍。しかし、動く様子はなし。


 ──といったありさま。

 黒猿の帝王、首ひねる。「誰が頼りになるってんだ?」

「・・・それでも、うちは、あきらめへん」

 ルーン司令官。

 ふたたびグレイスかまえ、斬り込んだ。


23、巨人の国の、じじょう


 同じころ。

 第三の門、『森の門』の上空にて。

「陛下! なんで、戦わんのでござるか!?」

 コボルド兵。

 きゃんきゃんきゃんきゃんと、わめき立てる。

「陛下! 正門を助けにゆくでござる!」「そうでござる!」「ゆくでござる!」

 空飛ぶ台に乗ったコボルドである。

 コボルド飛行兵である。

 2人1組で搭乗しておるのは、楕円形の小型空飛ぶ台である。かぶとがに型よりだいぶ小さく、風防となるかぶとはあるが、大砲はついておらん。代わりに風防の内側に大きめのスペースがあって、そこに弾薬が積んであった。

 手で投げ落として地上を爆撃する、けむりだまである。

 コボルドども。わーっと隊列崩し、中央の赤いかぶとがに型飛行台を取り囲む。

「いまゆくでござる!」「すぐゆくでござる!」「死ねと命じてくだされでござる!」

「ならん」

 赤鬼が、答えた。

 コボルド飛行台に囲まれ、たった1台、巨大な赤いかぶとがに飛行台。

 とげとげしきかぶとに、大砲。

 そして誇らしげな『壱』の文字。

 これなるは、ガンメタ鬼神台の兄弟の1人。『壱号(いちごう)』である。

 その壱号にすっくと立ち、コボルドどもに話をするのは──

 巨人の国の、第三代国王。

 鬼神の長男。

 鬼どもの元(はじめ)となった者。

 元鬼(げんき)。

 赤鬼の国王陛下、その御方であった。

「この場を動くことは、ならん」

「なんででござるか! 殿!」

 コボルドども、いきり立つ。

 飛行帽をぺしっと投げつける。強く投げすぎ、いくつか地面へ落ちてった。コボルド、おっちょこちょい。興奮するとつまらんミスをしでかす。

「卑怯でござる!」「惰弱でござる!」「死ねと命じてくだされ!」

「ならん。

 頼まれても居らんのに手出しをしては、エルフの誇りを傷つける。

 それに、不用意に動いては、逃げたかのごとく見られかねん。

 義勇兵どもが、動揺する」

「・・・。」

 コボルドども、地上を見る。

 ハイエルフの義勇兵、うじゃうじゃと門の内側に密集して、こちらを見上げておる。

 ひそひそささやきかわすエルフどもの声が、耳のよいコボルドにはちょっと聞こえた。

「・・・巨人ども、逃げる相談では?」「水門落ちたと聞いたえ」「あなや」「巨人逃げたら、私も逃げるえ」「私も」

「・・・。」

 コボルドども、赤鬼国王陛下を見る。

「最後に、」と赤鬼陛下。「我らの兵種の問題だ」

「へいしゅのもんだい」

「我ら、『落雷隊』。空高くより、雷の落ちるがごとく、広範囲に攻撃をばらまく部隊である。

 精密攻撃はできぬ。随伴のお弟子隊も、精密攻撃を苦手とする」

 赤鬼国王が示した方向に、巨人どもがぬーっと立っておる。

 巨人のお弟子隊。鍛冶師見習いである。なんだかんだと雑用に駆り出される。

 とても大きく、強いが、人間と一緒に戦うのはむずかしい。味方を踏んづけ、蹴散らしてしまう。

「──かかる我らが、正門の乱戦に駆けつけて、なんとする?」

「かみなり落とすでござる!」「落雷でござる!」「蹴散らすでござる!」

「ばかめ! 味方が巻き添えになるだろうが」

「あっ・・・」

 コボルドども、しゅんとなった。鎮まる。

 ただ、先頭の1台だけは隊列にもどらず、赤鬼国王を見上げてきよる。

「どうした。隊長よ」

「・・・殿」コボルド飛行隊長、控え目にこう言うた。「死んだら、それまでにござる」

「む?」

「我らがこうしておるあいだにも、味方には、被害が。

 拙者、歯がゆいでござる・・・」

「むう」

 赤鬼国王、唸る。

 しかし、それでも、いまは、動こうとせなんだ。


24、ルーン司令官、黒猿とたたかう


「しつっこい奴だなァ! 本気で反撃すんぞ?」

「・・・!」

 ルーン司令官。

 黒猿と戦う。

 絹ぐものマントひるがえし、美貌に汗光らせながら、粘り強く戦う。

 首筋を狙って、グレイスで打つ!

 敵、二刀を交差。バッテンにしてガード(受け止め)! そのままねじってくる。ディザーム(武器落とし)!

 ルーン、グレイスを下へ払ってディザームを流す。

 その動きの中で、長い足を、前へ。

 鋭く前に伸ばす蹴り! つばめの低空を飛ぶがごとし!

 金的蹴り!

 クリティカルヒット!

「おぐっは!!!」

 黒猿の帝王、飛び上がり、すっ転ぶ! 悶絶!

「おっ・・・おま・・・! お、女が、き、金的・・・」

「生きるか死ぬかじゃ! なんでもやったるわ!」

 ルーン司令官、ぶった斬る!

 黒猿、悶絶しながら転がって逃げる!

 神剣“グレイス”、敵には当たらず、足元の石材をぶった斬る!


 どっ・・・があ!!!


 石材まっぷたつ!

 アーチに穴生じ、ガラガラガラ・・・と、連鎖的にその列が崩れる!

 城門のアーチ門は分厚いゆえ、全部が崩れはせぬが・・・ぽっかりと、穴ができてしもうた!

「あわわ」

 ルーン、真っ青!

「斬りすぎえ!」グレイス怒る!「ひざより下には振るなと、何度も何度も!」

「チャンスやったもん!」

「・・・げっほ、げほ。そ、そうかァ。その手があったぜ」

 黒猿の帝王。

 ヨロヨロと起き上がり、剣振りかざした!

「これなら、おまえを斬らずに済む!」


 すぱ。


 城壁を、ぶった斬った!


 それはまさに、神剣の切れ味!

 刃の触れたる石材は綺麗に二つに!

 すぱ。すぱ。すぱり。


 どっがあああ! がらがらがらがら! ごんがらんごんがらん!


 正門アーチ、ぜーんぶ、崩れ落ちてゆく!

 アーチを構成する石材崩れ、木材露呈し、それも崩れ、土煙立てて内側へ崩壊!

 かろうじて飛びのいたルーン司令官!

 味方の守る城門塔へ退避!

 左右の塔をつないでおったアーチ門、全壊!

 防衛塔の屋上出口から先、わずか2間を残して、 もはや行き来はできんようになってしもうた!

「ルーン!」

 塔の中から、輝く肌の女が飛び出してきた。

 ルシーナである。さすがに、仰天しておった。

 ルーン、半分腰抜けたみたいになりつつ、返答する。「う、うちは・・・無事やぇ」

「そ、そうか。

 そやに、いまん(いまの)、何え!? 弩砲か? 弩砲がこっち流れて来たんかに!」

「ちゃう」ルーン、汗ぬぐう。「相手の・・・剣」

「は?」

 ぶわさ。

 その相手が、飛んで来た。

 わずか2間しかない、アーチの残り! その切れっ端に、見事着地!

 崩れたアーチの向こう側から──3間以上(約5メートル半)を、飛び越して!

 ずしゃあ!

 ルーンの目の前に、着地! 即、ジャンプ!

 ぶおん!

 ルーンの一撃、またしても空を斬る!

 バック宙した、黒猿の帝王! 穴を飛び越し、城壁の残骸のてっぺんに立って、ニタリと笑った。

「あなや。なんたる回避力」ルシーナ、つぶやく。「ましら(猿)のごとし」

 その黒猿が、ルシーナを見て、硬直した。

「・・・おお、なんと!

 お嬢さん! 名はなんと申される?」

「なにえ。いきなり」

「俺さまは、猿の帝王。

 あんたは? あんたの名を聞かせてくれ」

「なにゆえ、名乗らねばならぬ」

「ほれた」

「は?」

「惚れた! 結婚してくれ!」

「ことわる」

「なら、力ずくで連れてってやるァ!」

 黒猿の帝王。

 ルシーナめがけて、飛びついてきた!

 ルーン、剣振る! 対空迎撃!

 黒猿、剣振る! 対地パリィ!

 がきーん! ルーンの剣、弾かれる!

 がばり。黒猿、輝く肌のルシーナを抱きすくめる!

 ぱっ。ルシーナ、散り散りとなる!

 ごき。「痛ェ!」猿の帝王、石材の柱に鼻ぶつけ、悲鳴!

「このド阿呆。さかり狂うたお猿めが」

 ゆらゆらゆら。

 ルシーナ、ルーンの背後に現れる。

 幻生み出す『水鏡(みかがみ)』の術であった!

「私には、人生の目標あり。

 このルーンを女王に仕立て、国富ませ、もって私も得をする。

 その途上で薄汚い猿に孕まされるなど、ありえぬ。ここでルーンに斬られて死ね」

「またそないして(そんな風にして)全部に私を噛まそうとする・・・」

「うう。くそ・・・」

 黒猿の帝王。

 鼻血だらだら。鼻面押さえて後ろに下がる。

「俺さまだって、そうだぜ・・・。

 国を富ませ、子を増やし、ヒューマンどもに楽しい人生をくれてやる・・・。

 ついでに俺さまも得をするのさ。どうだ。俺と一緒にやろーぜ?」

「慮外(りょがい)なり。我を侮るな」

「んじゃ、しょうがねー」

 黒猿の帝王。

 二刀を、ふたたび、振り上げた!

「あんま遊んでられねーし、終わりにすんぞァ!」

 宙返り。

 城壁から飛び降りつつ、二刀を振るう。

 ぶおん、ぶおん、ぶおん。

 すぱすぱ、すぱり。

 ダークエルフ兵の立て籠もる、防衛塔の外壁が──

 野菜刻むがごとく、バラッバラとなる!

 分厚い石材が、組み込まれた木材が、流し込まれて固まった漆喰(しっくい)が。

 なんと理不尽! バラッバラとなってしもうた!


 どお、お、お、お、お・・・・・・・・・ん・・・!


 壁の一面が崩れるのに釣られて、ルーンの立っておったわずかなスペースも、崩れた!

「え」ルーン司令官、空中へ!

 3尋の高さから!

 石材と木材ガラガラ転がる、ガレ場のごとき崩落現場へ──真っ逆さま!

 青銅のヨロイがあっても、助かる見込み、低いと言わざるを得ぬ!

「ルーン!」ルシーナ手を伸ばすも、届かぬ!

 あやうしルーン司令官!

 まさにそのとき!


「ルン姉!」


 飛び込んで来たのは、赤きかぶとがにのごとき、巨大な飛行物体!

 伸びるは赤き女の手! しなやかながら、力強い!

 ルーンのマントを、引っ掴む!

「おぐえ!」

 首掴まれた、ねこのごとし!

 ぶらーんとなって、首締まる!

「あ」赤い手、慌てて離す!

 ルーン落っこちる! がっしゃあ!

 青銅のヨロイ、石にぶつかり音立てる!

 赤きすらりとした女、飛び降りた。抱き起こす。

「ごめん。ルン姉。大丈夫?」

「げっほ。げほっ・・・」

 大丈夫であった。

 ルーン、喉のあたりを押さえつつ、起き上がる。

 盾は派手にへっこんでおるが、グレイスはしっかり握っておる。

「げほっ。イリス?」

「うん。うち」

 石材ゴロゴロ転がる中に、ルーン支えてすらりと立つ、赤き背高き女戦士。

 赤き鬼娘、屈強なるすもうの名手、イリス!

 ただいま到着であった! 


25、イリスとルーン、黒猿とたたかう


「まーた、女かァ」

 黒猿の帝王。

 門の外から(もう門は崩れてしまいましたがね)、瓦礫の上へ、ぴょーんと飛び乗ってきた。

 頭を傲然と(ごうぜんと)もたげる。

 背を伸ばしたので、イリスより背高いのがわかった。

「エルフは女混ぜて来るからなァ・・・

 で、赤いお嬢さんよ。ただもん(ただ者)じゃあるめー? 名乗ってみな」

「うち、イリス。

 おっちゃん、鼻血出てるえ」

「あ? おう。ちょっとぶつけてな。

 イリス。『虹』かァ。

 もしかして、月の三姉妹の末っ子か」

「うん」

「はっはーん? ってこたァ・・・」

 黒猿の帝王、ニヤリとし、上を見上げた。

 ルシーナ、さっと引っ込む。

「あの可愛い娘ちゃんは、ルシーナさまか!」

「姉者を『可愛い』いう男、初めて見たえ」

「もらって行くぜ」

「あげへんで」

 黒猿、崩落した城壁をするするっとよじ登る。

 イリス、ひょいとかがんで石材の破片掴み、ブン投げる。

 ずごん!

 黒猿の目の前に着弾! 黒猿あわてて飛びのく。

「あっぶ!」

「ルシ姉手ェ出すなら、うち倒してから行き」

「じゃ、そうすっかァ」

「りくにぃ、ありがとう。巨人軍にもどってええよ」

 ぶわっさ。

 空飛ぶ台の陸号、上空へ退避。

 そのかぶとの中から、ぽろーん。黒い飛行物体、落ちて来る。

<私はルシーナさまのそばにいますね>

「あ、うん」

<おざなり!>


 睨み合う、イリスと黒猿。

 左右防衛塔のあいだ。瓦礫となったアーチの残骸の中。

 徐々に高くなる陽光の、濃い影の落ちるところ。

 イリス。

 両手、ぎゅっと握って、進み出る。

「・・・おいおいおい、待て待て待て! この剣相手に、素手っておめー!

 手が飛んでっちまうぜー?」

「そやに」

 イリス、ひょいとかがみ、木材掴む。

 ぐおーん・・・。振りかざす。

「ほな、これで行くえ」

 振り下ろす。

 木材スマッシュ!

「うっほ!?」

 黒猿、飛びのく間もなく、覚悟決め──

「──なむァ!!!」

 ぶった斬る!

 頭上に迫る、木材を!

 右のオレンジ剣で! 左のオレンジ剣で!

 ばっかあん! 木材、3つになる! そのまま落ちて来る2番目の部分を、黒猿、二刀でブロック(せき止め)!

 ルーンが踏み込んだ! まだ空中にある木材ごと、グレイスでぶった斬る!

 がきぃん!

 木材は真っ二つ! だが!

「来ると思ったぜー!」

 黒猿、盲受けにて、見事にグレイスをブロック!

 反撃!

 ルーンは痛恨のミス!

 反射的に、山羊革の盾でブロックしてしもうた!

 そんなもんで止まるはずなし! 盾、すっぱり! そのまま、刃は肩口に──

「ルーン!?」

 グレイス、悲鳴上げる。

 くるり・・・。

 回転して、ルーンは石材の上に倒れた。

 青銅のヨロイを鳴らして転がり、受け身取って・・・立ち上がった。

「あ痛ったたた!」

 盾、投げ捨てる。

「ルン姉!」イリスが駆けつけ、ルーンをかばう。

「・・・大丈夫。切れてへん」

 腕、ちゃんとついておった。

 青銅の胸当ての肩に付属しとる革ベルト。肩を守る、すだれみたいなパーツ。それに剣の痕がついておる。

 しかし、石材をすぱっと斬る剣が、なんで革ベルト程度で止まったのか?

「・・・いま、とっさに、抜いたのやが」とグレイス。

「『断つ』のルーンを止めたっちゅう意味?」

「うむ。ひっとなって、思わず止めただけなのやが・・・」

「グレイスが『断つ』やめたら、相手の剣も、なまったってこと?」

 ルーンとグレイス。そしてイリス。目を見交わし、敵を見る。

「秘密だっつってんだろォ?」

 黒猿の帝王。

 ニヤリと笑って、踏み込んで来た。

 イリスめがけ、右の剣を振る。の直後、ルーンに牽制の左突き。

 イリスは回避。一歩踏み込む。

 ルーンはグレイスを両手持ちにして、パリィ、打ち払って、これも一歩踏み込む。

 うまく挟み込んだ!

 が、黒猿。ぴょーんとジャンプ。おっそろしい跳躍力。3間あっちまで飛びのいた。

「・・・ほんま、猿みたいな御方やに」しゃがむイリス。なんか拾う。

「まーな。『猿』ってのは、あだなじゃねーかんな」

「さるなん?」

「猿だぜー?」

 黒猿。ジャンプ。

 壁蹴り、舞い上がり、宙返り!

 2人の頭上から、ルーンに剣、振り下ろ──さんとする顔面に、小さな石がぶち当たった。

 イリスの手投げ弾。いま拾った小石であった!

 甘くなった攻撃を、ルーンがグレイスで迎撃。

 ごきん。

 鈍い音。

「──やはりそうえ」グレイスが言うた。「相手の剣、明らかに、なまっておる」 

「ほな、ずっと止めといてもろたほうが安全やね」

「うむ・・・不本意やが、『断つ』のルーン、一時封印するえ」

「どっちみち、まともに喰らうたら、やられるやろけどね」

「そやに」とイリス。「ルーンのうても(ルーンがなくても)、ええ剣やもんに」


 大将戦はつづく。

 その間に。


 ルシーナ、半壊した防衛塔にて、ダークエルフ兵と共に戦い続ける。

 たまに『水鏡』の術などで味方を支援しつつ、通信の回復を急ぐ。

 まず、向かいの防衛塔のハイエルフらと怒鳴り交わし、領主の意向を確認。

「正門は、渡さぬ!」と領主。「死守あるのみ!」

「水門は落ちた由! いかに?」

 ハイエルフの領主、みずから剣振りながら、こう叫んできた。

「我が軍の空警、そして太陽神殿の方々が、必ず逆転してくださる!

 そやに、弩砲! あれを、なんとかできませぬか?

 空警には、弩砲が、脅威なれば!」

「了解!

 ──こちらアルス軍、参謀ルシーナ。陛下、直言お許しを」

<なにかな。ルシーナ閣下>

 赤鬼国王、元鬼の声。

「正門、苦戦中なれど、意気盛ん。防衛はお任せあれ」

<ほう? 援軍はいらんと>

「はい」

<人外の猛将ありと聞いたが、それもやるか?>

 ここでルシーナはひそひそ声をやめ、次の一言だけ、大きな声でしゃべった。

「我らの女王と、三姉妹最強のイリスが、やりまする」

<・・・そうか!>

 通信先の元鬼の声に、変化があった。

「そやに、陛下。

 領主閣下より『弩砲なんとかならんか?』の要請あるも、我らに、その余力なく」

<了解。弩砲は、我らが粉砕する。正門防衛に集中されたし>


「・・・最強のイリス」

 ルシーナの一言は、イリスにも聞こえておった。

「ルシ姉、私を一人前扱いしてくれとったんやに」

「当たり前やん。はぁ、はぁ」ルーン、息切れしつつ、応じる。「自分、どんだけ強い思うてんの」

「わからへん」

 イリスはルーンを見て、ほほえんだ。

「自分ではわからへん。そやに、ちょっと、試してみる」

 そして、黒猿めがけて、突っ込んだ。


 イリスの背後、『森の門』上空では、巨人軍が動き始めた。

 国王はそのまま、巨人のお弟子隊が歩き出したのだ。

 潮の流れは、変わりつつあった。


26、イリス、かつ


「いくえ! お猿さま!」

「おう、来いやァ! お虹ちゃん!」

 イリス突っ込む。

 オレンジの刃恐れず突っ込んで、黒猿の手元にチョップ! ほぼ同時に、黒猿の前すね刈るローキック!

 チョップに気取られた黒猿、ローキック喰らって顔ゆがめる! 反撃の柄当て! 柄尻の部分で打撃する、当たると意外に痛いやつ!

 イリス、青銅のこてでガード! しかし続けてもう一刀の柄撃ち! こちらは鎖骨近くに喰らって、ノックバック!

 距離開き、振り出しにもどる。

 イリス、小石いくつか拾ってガリッと握り込み、投げるフリ! フェイント! 敵の反応を誘っておいて、斜めにすべるように突っ込む! 敵の左側面へ! して、またチョップ──と見せかけて、パッと手開く! 砂煙、舞う!

 握りつぶした小石が砂となり煙となって、黒猿の目を襲う!

「ふん!」

 黒猿、ぴょーんとジャンプ。距離開き、振り出し。

 イリス、悔しそうな顔する。

「ルン姉。ごめん。倒すんは、無理かも」

「ええんよ」とルーン。「1人で勝たんでも」

「・・・!]


 イリスは、前かがみになっとった背を、すっと伸ばした。

 周囲を広く眺め渡す。

 戦場の様子が、突然、すーっとイリスの中に入り込んできた。

 頭上を飛びゆくコボルド落雷隊。ずしーん、ずしーんと走ってゆく巨人。

 水門のほうにかすかに見えるマナの輝きは、太陽神殿の『祈願』であろう。

 イリス、空を見た。

 飛行兵が飛びすぎたあとの青い空に、青い点がひとつ、舞っておった。

 イリス、うなずく。


「もっかい行くえ」イリス、また小石拾う。今度は2つ。

「同じ手は、喰わねーぜ?」

 黒猿の帝王。

 余裕の表情で、二刀をかまえた。

 そのときである。

「わんっ!?」

 犬の鳴き声、響きわたる。

「くせものっくせものでっす。であえっであえぇーわんわんわっ!」

「んッ!?」

 黒猿の帝王、びっくりして、振り向く。

「こら、おいぬ! おまえ、また命令無視してついて来・・・?」

 振り向いた視界に、いぬは、なし。

 ただ、着地する青い鳥──鳥女が居っただけであった。

「・・・なんだおまえ」

「うちのともだち」

「ぬッ!?」

 突進してきたイリス。

 手を振る。また砂煙!

 黒猿、ぴょーんとジャンプ。イリスも鳥女もルーンも居らぬ方向へ!

 だが。

「──うん。そっちやろに」

 イリス、もう一度、手振る。

 するどく飛ぶ、石つぶて! 黒猿の眉間にビシリと命中!

「うぐっ」

 イリス、2つ拾った石を、1つは潰して砂煙とし、もう1つはそのまま持っとったんである。隠し弾である。

 そして!

 神速のダッシュ!

 着地寸前の黒猿の首、捕まえた!

 己が身体ごと、きりもみ回転! 首巻き取って、石畳に叩きつける!

 黒猿、頭を痛打! 人間だったら死ぬレベル! さすがにぶっ倒れた!

 回転して立ち上がるイリス。

 素早く相手をチェック。

 黒猿も立ち上がる。しかし、目は虚ろ。棒立ちである。

 ──おや? 剣がない。

 黒猿の手に、グレイスそっくりの二刀がない。地面にもない。

 オレンジ二刀、突如、消失である!

「・・・どこ行ったんかに?」

「わからへん」

「イーリースーぅ。だいじょーぶ?」

 ばさ、ばさ、ばさ。

 青い鳥女。

 イリスのそばに寄ってくる。

「うん。ありがとうポタージュ! めっちゃ似ておったに」

「ぴぃ、ちゅちゅちゅ!」


 なんと、先ほどの、犬の女神そっくりの叫び声。

 ポタージュによる、声のものまねだったのである!


27、ポタージュの、すけだち


「・・・あァ?」

 黒猿の帝王、はっとしたように、周囲を見回す。

 それから、イリスの位置に気付いた。

「ああ、そっちか」

「大丈夫?」とイリス。「意識飛んでおったに。安静にしたほうがえええ。降参しぃ」

「するかァ!」

 黒猿、叫び返すが、ちょっとフラッとし、頭押さえる。

 やはり無意識に立ち上がっとったようである。熟練の戦士には、そういうことがある。

「よりによって、この俺さまが、ものまねにやられるとはな!」

「剣どこやったん?」

「ん? ああ。そっか。消えちまったか」

 黒猿の帝王。

 ルーンが右手に持ったままのグレイスを見て、ニヤリと笑う。

 両手を上げて、こう唱えた。


「──『ものまね』のルーン。神剣よ、我が両手にあれ」


 すると。

 オレンジ剣。

 神剣“グレイス”そっくりの二刀、ふたたびその手に、出現したのであった!


「・・・また出て来よったえ」うんざりするイリス。

「さっきと一緒や!」とルーン。「正門に攻めてきたとき、いまみたいに、ぱっと剣出してん」

「ま、そういうこった」

 黒猿の帝王。

「さて、手加減してどうにかなる相手でもなさそうだ。

 行くぞァ!」

 黒猿、猛然とダッシュ。

 前進しつつ、二刀をくり出して来よる!

 いままでに見せとらんかった、本気の斬りである!

 イリス、一撃は弾き、次は避け、三つ目は飛びのくが、さらに四撃目が来る!

 ごぃぃぃ・・・ん!

「ちっ!」

 かろうじて。

 本当にかろうじて、建物の壁によって、剣は止まった。

 イリス。二撃目を避けるとき、手近な建物の方へ逃げとったんである。

 まさにギリギリの回避、その真っ最中に、イリス、反撃。張り手! 黒猿の鼻先をバシッとかすめる。

「浅い、浅い!」

「・・・!」

 『断つ』のルーンの切れ味、やはり停止しておる。

 刃当たった建物が健在であるからして、明らかである。

 しかしである!

 ルーンの切れ味なくとも、グレイスはやはり、神剣!

 そのそっくりさんも、恐るべき切れ味! そして、耐久性!

 イリスは青銅のこてで剣を払い、石壁に当ててやったが、曲がりもせぬ! 欠けもせぬ!

 伸びるがごとく突き、撫でるがごとく斬るその一撃一撃が、すべて必殺!

 どうにもならず、路地に逃げ込むイリス!

 追う黒猿!

 壁を利用し、剣のスイング方向を限定するイリス!

 壁を蹴ってジャンプし、宙返りし、イリスを惑わす黒猿!

 髪斬られ、袖斬られ、青銅のこてガコンガコン凹まされてゆくイリス!

 圧倒的に、不利!

「さすが・・・正門を抜いた・・・武将やに!」

「おう! 光栄!」

 まさに!

 正門前の戦いを単騎で決したという、人外の猛将──猿の神わざ!

 イリスあやうし!

 と、そこに!

「ルシ姉! グレイス消して!」

 鈴の鳴り響くがごとく、路地に伝わる女の声!

「なにえ。消すとは」

「水鏡! グレイスを、消して!」

 通りの向こうでそんな声がしたかと思うと。


 ぱっ。


 黒猿の二刀が、また、消え失せた。

「ぬァ!?」

「やっぱり、そえ!」

 路地の入り口。

 三姉妹の次女、スカルドのハルモニアー。

 びしっと黒猿を指差して、言い放った。

「手品のタネ、見切ったり。『ものまね』のルーン!」

 黒猿。

 後ろを見る。

 イリスの仲間たち。

 ルーンと、指差してくるハルモニアーと、首ひねっておるルシーナ。と、建物の影、死界へ飛び去るポタージュ。

 おや?

 ルーンの手に、グレイスがない。

「なんでグレイス隠したらあれ消えるのえ?」

 とルシーナ。

 どうやら、彼女が『水鏡』で隠したようである。

「あれは『ものまね』のグレイスやったに」

 ハルモニアー。

 伝承を司るスカルドらしく、説明する。

「本物なくば、ものまねは成り立たぬが道理。

 そして、彼の御方は『ものまね』のルーンの所有者──

 猿の神と、お見受けいたしまする!」

「はっはっは! そのとーり!」

 黒猿の帝王。

 ぴょーんと跳び上がったかと思うと、建物の壁にしがみついた。

 するするするっと、垂直な壁よじ登り、屋上まで上がってしもうた。

「俺さまこそは、猿の神!

 ヒューマンの生みの親、コボルドの父。

 『ものまね』のルーンの所有者なり!」


 なんと、黒猿。

 神さまの1人。ヒューマンの祖先神たる、猿の神さまだという。


 で、その神さま。

 わっはっはと笑っておったが、やがて首筋押さえ、痛そうにしだした。

 鼻血がダラーと、ふたたび流れ始める。

「あー・・・、やべー・・・、あれ? 止まったと思ったのになァ」

「当てたからに、ハァハァ」

 さしものイリスも息切れである。

「・・・さっきの張り手か! あれ、鼻血狙いかァ!」

「そえ。それに、走らせたし。

 走らせたら、ハァハァ、たいていの傷、悪化する、ハァハァ」

「かしこいな、おまえ」

 猿の神、感心する。

「よっしゃ! 今回は、俺の負けだ!

 だが覚えてろよ、エルフと女神ども! 絶対ェ侵略してやっから!

 また来るぜ、ルシーナちゃん!」

「来な(くな)。去ね。くたばれ」

「ウキキッ!

 『ものまね』のルーン! 赤い魔術の飛車を、ここへ!」


 猿の神の頭上に、赤きかぶとがに型の空飛ぶ台が、出現した。

 鮮やかにして深みあるカラーリング。おでこの大砲。

 誇らしき『壱』の文字!

 なんと!

 赤鬼国王専用機、『壱号』までもが、ものまねされてしもうた!


「なんでもありやに」

「ルシ姉、水鏡」

「届かぬ」

「じゃーな!」

 猿の神、ものまね壱号に飛び乗る。

 イリス叫ぶ。「歩いて帰って来れんとこまで、飛んでってまえ!」

「わっはっは! 負け惜しみは、みっともないぜー?」

 高笑いする、猿の神の頭上に。

 ばさっ。

 ポタージュ、出現す。

 わっし。

 猿の神の頭、足で、わしづかみ、

「『空間』のルーン! 歩いてっ帰っ来れんっとこまで、飛んで手前ー!」


 ぱっ。


 猿の神、消えた。


 猿の神 vs アルス軍の女ども(とポタージュ)!

 戦闘終了である!



※このページの修正記録

2023/10/25

「27、ポタージュの、すけだち」

 セルフネタバレを修正しました・・・。これ↓

  正門前の戦いを単騎で決したという、人外の猛将──猿の神の、神わざ!

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