第2話 夏休み

「今日も暑いね」

このうだる様な暑さがうっとうしいなぁと思いながら、額の汗を拭く。

「そうだねー」

そう言いつつも彼女は涼しい顔をしている。

太陽が、一年の中でも一番憎くなる季節。

日本は四季があるから良いと言うけれど、もう少し温度が下がってくれないかなって思う。


「今週も始まったばっかりなのになぁ。ん?  なに、ニヤニヤしてんの?」


「ふふっ、気が付いた?」

彼女は、したり顔で笑みを浮かべていた。


「なんだと思う?」

彼女が、この笑みを浮かべる時は何かある時。しかも、からかえる様な事。

「俺の顔になんかついてるの?」

「残念だけど、そんなんじゃないんだなぁー」

残念って何っだよ!でも、そうじゃ無いならこの笑みはなんだ⁉


「週末、何があるのかなぁ?」

なにやら意味信げに彼女は言う。




「この週末、、、花火大会かぁ!!」


そう、地域の花火大会がある日。


でも、花火大会と言っても何万発とか何十万発上がる、有名な花火大会のような規模では無く、3000発程度の小さな花火大会だけど、この地域の人は、その日、大半の人が、その打ち上げ場所周辺に集まる大イベントなのだ。


「なんだ、そんなに俺と行く花火大会が嬉しいの?」

なんだ、可愛いとこあるなーと思った矢先。


「ちがぁーう!!!」


「ふっふっふっー なんと昨日、浴衣買ってもらちゃったぁ。だから、君は私の浴衣姿が見れるんだよ。楽しみでしょ? 嬉しがっても良いよぉ」


浴衣か、、、


「ん?何か変なこと想像してない?」

「してねーよ。って!だいたい”変なこと”ってなんだよ?」

「ほれ言ってみ。ほれ!」

からかわれたばっかりの僕は、ツッコムめる事につい嬉しくなってしまった。



「ばかぁぁぁぁ!!!もう、見せてあげない!!」



そう言いながら彼女は走って去っていった。

少し言い過ぎたかな、、、

後で謝ろう。そう決めたけど、次の授業が終わったら普通に彼女から笑顔で花火大会の待ち合わせ場所の相談をしてきた。


その日は、”女ってわからない!” そんな事を思いながら家に帰った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る