ブラックコーヒー
shin
第1話 想い出
「パパ、コーヒーおいとくね。」
「ありがとう」
「ねぇねぇ。ひとつきいてもいい?」
「うん。良いよ」
「パパのはつこいのおあいては、ママ?」
「どうしたんだ。そんな事聞いてきて」
「せんせいと、おはなししたの」
初恋か、、、、、
不意に息子にそう聞かれた。
その出会いは、桜が咲き誇る頃だった。
少し肌寒く、太陽に包まれると暖かさに癒される。そんな季節に、彼女と出逢ったんだ。
初めての中学校、僕は緊張していた。
もちろん、真新しい制服を着た人たちは、同じ心境だったかもしれないけど。
とにかく僕は緊張していた。
そもそも、環境が変わる事が僕は、苦手なのかもしれない。
長い上り坂を登り、満開に咲いた桜の横にある校門をくぐり、これから走り回るであろうグランド横切った所に校舎は建っていた。
下駄箱に着くと、貼りだしてあるクラス分けの表から自分の名前を見つけ、クラスに向かう。クラスに着くと、席は大体は埋まっていて、分かりやすかった。
さいわい、小学校からの友人が前の席に座って居た。
緊張も少し和らいだところで、周りを見回して、横の席の女の子に目をやってからまた、違う緊張になった。
そこには、ショートボブが似合う君がいたんだ。今から考えると僕は、その
いわゆる ひとめ惚れ。
だけど、あの時は僕の性格もあってか上手く君と話す事が出来なかった。
話をする時はいつも君からだった。
今、思うと我ながら情けない。。。
でも、ぎこちなくだけど確実に二人の距離を近づいていった気がしてたよ。
「はいはい、見せつけなくてもいいから。夫婦いつまでも仲良くね」
そんな風に、良くからかわれた。
二人で話している事が多くなり、いつしかクラスメートからは『夫婦』なんて言われる様になった。
僕は嫌では無かったけど、君はどうだったのかなぁ。
そんな日々は、穏やかに、暖かく、二人をつつんで時が過ぎていった。
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