Kさんに起こったこと・ホラー小説

野口マッハ剛(ごう)

何か

 Kさんに起こったことの話です。

 よろしくお願いいたします。

 Kさんは夏の寝苦しい夜に寝転がりながらスマホで怖い動画を探していました。

 夏の夜のなんでもない静けさです。

 Kさんはスマホに夢中です。

 怖い動画を探しています。

 けれども、どれひとつとして怖いと思える動画はありません。

 ちぇっ、つまんないな。

 ピンポーン!

 あれ、こんな時間に誰だろう?

 時計を見ると、もう夜中の一時です。

 ピンポーン!

 Kさんは玄関へと向かいます。

 本当に誰だろう?

 ピンポーン! ピンポーン!

「はーい! 出ます!」

 ガチャっ、ぎいいいい。

 そこには、誰も居ません。

 あれ、おかしいな?

 Kさんは外の様子をキョロキョロと見ます。しかし誰も居ません。

 すると、今度はスマホに着信音が。

 なんなんだよ!

 Kさんは慌ててスマホを取りに部屋へと向かいます。

 Kさんがスマホで電話に出ます。

「もしもし?」

 ブツッ、ツーツー。

 なんなんだよ? 気持ち悪いな?

 またしても、ピンポーン、と鳴っています。

「あ」

 ここでKさんは、玄関のドアが開けっ放しということに気付きました。

 ピンポーン! ピンポーン!

 けれども、玄関へと向かうしかありません。

 ドッ、ドッ、ドッ、ドッ。

 心臓の音が高鳴りますKさん。

 ゆっくりと玄関へと向かいます。

 ピンポーン!

 …………………………。

 妙に静けさに戻りました。

 Kさんは、立ち止まって、ふと後ろの方を見ます。

 誰も居ません。

 ピンポーン!

 なんなんだよ! チクショウ!

 Kさんは全身が汗まみれです。

 ピンポーン!

 いったい、この正体はなんなのでしょうか。

 玄関に着いたKさんは慌てて部屋へと向かいます。

 見てしまったのです。

 Kさんは、ガクガクと震えています。

 スマホで動画を撮ろうとしたKさんの手を、青白い手が掴みました。Kさんは意識を失いました。


 目が覚めたKさん。暑い朝の目覚めです。

 ミーンミーンミーンミーン。

 Kさんは確かに見ました。

 長い髪の毛の青白い女性が立っていたのを。

 そして、スマホはいつの間にか動画撮影が終わっていましたとさ。

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