ダイスパラダイス
アキヅキ
第1話あれ?
俺の名前は
どこにでもいる高校生だ。
別に探偵でもなければ超能力を持っているワケでもない普通の。
3歩戻る。
おかしいのはこの街の方だった。
俺は3歩戻るを避けられずそのまま3歩戻る。
人生なんて双六さ。
きっと3歩戻った先に可愛い女の子が、、
ポニ
あ、イベントマス!
カチ
ほら見ろやっぱりこの感触は、
「悪かったな貧乳で。遅刻するぞ?」
げ!先生?
先生の見下すような目にやられて俺は今度こそ自分で3歩下がった。
マス目は避けた。
この街にはいつの間にかマス目が出来上がっていて、それは何とこの国だけではないらしいのだ。
もう世界全土にマス目は広がっていた。
最初の方こそ、
「ちよこれいと」
何てマス目で遊ぶヤツがいたが、
「今ではそんな余裕はないもんな」
というのも数日前にそのマス目による事故で車と歩行者のイベントが起きた。
結果は双方ともに亡くなったらしい。
巻き込まれた者はなく、キレイにその二人だけが。
車の同乗者は家族で二人共無傷。
運転手のみ。
ニュースでも話題にされていた。
「不自然ですよね?物理的にありえませんよ」
不服を隠さず表してテレビ内で激昂する姿は人々にさらなる不安を植え付けた。
そんなこともあってか、父親の会社では現在新たな保険を検討しているらしい。
_それ社外で言っていいの?
社外秘かもしれない。
その名も「双六損保」
捻れや!と思わずツッコミを入れてしまった。
「仮名に決まってるだろ」
ツッコミに冷めた目で父親が返す。
父親はエプロンをつけていた。
「メシにするぞ」
60近い歳で男手一つで俺を育ててくれた。
俺は親からヤスと呼ばれていた。
「ヤス、新しくできたイベントマスには気をつけた方がいいぞ?」
ワクチンプログラムが効かないらしいからな。
料理を盛り付けながら何食わぬ顔で言ってきた父親はギョッとした俺を見て、
「怖いか?」
大丈夫だ。父さんが守ってやる。
ホッとした。
父親は社内でも重要な役職についていた。
新しく創設された部署の開発主任兼課長であると聞いていた。
その父が世界初のワクチンプログラムを作った。
そのプログラムが効かないマス目があるという。
次に開発されているのはイベントのみを残して、アクシデントマスだけを避けるものにするという。
「アクシデントって人によって異なると思うけどなぁ」
「その辺りも検討中だ。特に何かに登録する必要もなくできるようになればと思っている」
具体的には結婚や出産といった祝い事を個人的に呪っている人間もいるという複雑な関係も既に計算に入っているというのは流石と言えた。
「心配するな」
俺は食器を洗いながら思う。
父親は優しすぎると。
甘いと言っても差し支えないくらいだ。
たしかにそれくらいでないとこうなった世界では我が子を守れない。
だからたぶんどこも今はこんな感じなんだろう。
しかし、ウチの父親は前からこうだった。
この食器洗いだって最初はさせて貰えなかったのだ。
別に怪我をしたことがあるとか、そんなきっかけすらないのに。
ウチのことはいいんだ。
問題はそのイベントマスだった。
イベントマスは軽いものから重いものまで様々だ。
その中でも俺が引っかかったのは比較的軽いものだった。
以前俺はイベントマスで絡まれたことがある。
殴られ蹴られ金も取られた。
しかし、入院中クラスメイトが沢山見舞いに来てくれて、それまで接点のなかったみゆとも仲良くなった。
イベントマスにとってはこれは中度のものとされている。
しかし、ここがターニングポイントになったりした場合はもうマスの効果ではないらしい。
ダイスパラダイス アキヅキ @aki-2ki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ダイスパラダイスの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます