第55話 きっかけ

いつも右へと曲がる道を左に曲がると……。

そこにあったのは、小さな看板。

「アロマセラピースクール?」

私は興味が再燃する。


というのも、私は高校を卒業した後、動物の専門学校に通っていた。

その時に、ちらっとアロマセラピーについて勉強したのである。

その時の楽しさが脳裏をよぎる。


そして、高校卒業後は……。

由佳と初めて、違う道に進んだ。

というのも、高校まで同じところに進んでいた。


私は、漠然と動物に関わりたいと願っていた。

けど、由佳は違った。

高校は何となくと言って、同じところを受験し、一緒に受かった。


由佳は高校を出た後、他の専門学校へと進んでいた。

洋裁学校だった。


「ファッションの仕事でもしたい」

由佳はそう言っていた。


私は私で動物の道へ。

由佳は由佳でファッションの道へ。


家はお互い実家から学校に通っていた。

だからこそ、毎日顔を合わせるし、話もする。


「いつかは、姉さんの服を作りたいな」

「嬉しいな。私は、何ができるだろ?」

「動物専門だもんね……。」

「あ! そういえば学校の授業でアロマセラピーの資格持ってる講師の先生もいてさ」

「え? なにそれ凄いじゃん!」

「私も何かできないか、先生に相談してみよっと」

由佳はそう言うと笑った。


「じゃあ、いつか私に何か作ってほしいなー?」

「良いよ」


私はそれがきっかけで、アロマを再び勉強しだした。

そっか、それでアローニでもあんなに答えられたのか!


私はようやく少しずつ思い出してきた。

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