第48話 合否
私は、恐る恐る黄色い封筒を手に取った。
一思いに開けるべきだろうけど……。
結果が入っていると分かっていて、怖くなった。
封筒を室内に持って行く。
ロニーとレイチェルに見守られながら、私は恐る恐る封筒を開けた。
「え?」
「マリ、読めるかい? 合格だって」
「おめでとう、マリ!」
私は晴れて、セラピストの仲間入りを果たしたようだ。
実感はわかない。
いきなり生活が変わるとも思わなかったから。
「どうしたの、ふたりとも?」
「どうしたって……、マリ、申請に行くのよ」
「申請?」
「セラピストになれたんだから、手続きしないといけないよ」
その一言に私は驚く。
「そうだったの!?」
「そうだよ」
ロニーは苦笑いする。
とりあえず、私は外出の用意をする。
そして、ロニーとレイチェルと封筒の中身と一緒に、外へと出た。
「さあ、行こうか」
ロニーが張り切って案内をしてくれる。
まずはセラピストの情報を登録センターへ登録するらしい。
人はそんなに並んではいない。
「マリ、合格証を出して」
レイチェルがそっと教えてくれた。
私は合格証をスタッフさんに見せる。
「おめでとうございます! では、こちらにかざしてください」
私は言われた通りにかざす。
一瞬、合格証が青白く発光した。
「登録完了です。次はあちらに行ってください」
「はい、ありがとうございます」
私は付き添ってくれる二人とともに言われた通りに進む。
「次は採寸だね」
「採寸?」
「セラピストの白衣の採寸さ。さすがに、マリも体の成長は止まっているだろうし」
「うん、多分……」
明らかに成長期ではないのは分かる。
だが、微妙な身長の増減は必ずしもある。
「マリさん、こちらにお願いします」
「あ、はい!」
「失礼します……、普段はどんなサイズの服を着ますか?」
「Mサイズですね」
「Mサイズ……、では一度採寸してサイズを決定しましょう」
服のサイズを聞いた意味って?
私は一瞬戸惑った。
「こちらはMサイズだと少し大きそうですね。Sサイズだとぴったりくらいですが……、どうしましょう?」
「Mサイズで良いですよ」
ロニーが横から口を出す。
「冬は寒いから、中を厚着してしまうでしょう?」
「そうですね、ロニーさん。でしたら、白衣はMで支給させていただきますので、あちらでの受け取りはお忘れなく」
また別の場所に移動する。
「白衣はこちらですよ」
私は2枚のMサイズに調整された白衣を受け取った。
「晴れてセラピストの一員です、おめでとうございます」
スタッフさんが声をかけてくれた。
「ありがとうございます」
登録はこれで終わったので、ロニーの家に戻ろうと出口へ向かう。
「待っていたわ、マリ。話があるの」
出口で意外な人物が私を呼び止めた。
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