第45話 試験、開始!
試験会場に足を踏み入れる。
そこには、同じく受験を志すライバルたちがいる。
私は指定の席に座り、持ち込んだ本を広げる。
ロニーが、早めに行けば現地で最後の復習ができるだろうと言っていた。
まさにその通りで、私はただひたすらに復習する。
続々と人が部屋に入ってくる。
たくさんの人が受験をするんだな、と私は感動した。
なぜ感動したかはわからなかったが。
それから時間が経過して……。
「復習をしている方は、教材をしまってください。机の上には筆記用具のみでお願いします」
いよいよ、試験が始まるのだ……!
ざわざわと室内がざわめきつつ、本を広げていたり、ノートを広げていたりした人たちは次々と鞄に本やノートをしまう。
私も早々に本をしまった。
私は、緊張しつつも早く問題をクリアしたい気持ちでいっぱいだった。
早く終わって、ゆったりとしたい気もする。
「これより、試験を始めます。まずは、実技の試験です。今より試験官が問題となるエッセンスと回答用紙をお渡しします。案内があるまで、エッセンス及び回答用紙には手を触れないようお願いします」
すぐに、前方からスーツを着た数人がそれぞれの机にエッセンスの小瓶と、回答用紙を置いていった。
全員に配り終わった試験官たちは、頷いて代表らしき人に合図する。
「それでは、実技試験はじめ!」
私は、1と書かれた小瓶を手に取る。
鼻をくすぐる香りは、大好きな明るい香りだ。
回答用紙にチェックを入れる。
1)ユーカリ
2)ジュニパー
3)オレンジ・スイート
4)ベルガモット
私は迷うことなく3を選ぶ。
これだけは、間違えないという自信さえあった。
次の2は……。
スッとする香りだ。
外は寒いのに、さらに冷え切った気分になる。
回答用紙にはこうある。
1)スペアミント
2)ローズマリー
3)スイートマジョラム
4)ペパーミント
私は4を選ぶ。
スッとして、冷たい香り……、夏なら大歓迎の香りは消去法でペパーミントしかないと思ったからだ。
次が最後の問題だ。
清々しい香りがした。どこか薬を思わせるような香りでもある……。
1)カモミール・ローマン
2)ティーツリー
3)サイプレス
4)フランキンセンス
私は2を選ぶ。
清々しいけど、薬を連想させると言うとティーツリーやユーカリと言った、フトモモ科の植物を連想したからだ。
20分ほど経った。
「実技はそこまで!エッセンスは蓋をしっかりと閉め、先ほどの袋に入れてください。」
試験官たちは説明が終わって一息入れた後で、順番に回収していく。
「回答用紙も併せて回収させていただきます」
実技に対しては、見直しなどもできなくなった。
次は、筆記の試験だ。
私はどこまで実力を出せるのだろう?
少し、不安になってきた。
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