たぬき親父

@yukaninjin

第1話

「乾パンなんか食えるか!」

「ツバが全部無くなるわ!」

「ただでさえ水が貴重な時、パッサパサの乾パンなんか食ったら、いくら水飲んでも足りん」

と、旦那がブーブー言うので、我が家の災害備蓄食品は、「赤いきつね」と「緑のたぬき」に決まった。と言うか毎晩、旦那は夕飯の後、寝る前にだいたい「赤」か「緑」のどちらかを食べているから、災害とか関係なく常に備蓄されている。

特に「緑のたぬき」が好きらしい。観察しているかぎり、「赤」1:3「緑」ぐらいだろう。「西日本と東日本で味が違うんだぜ」など、マメ知識など語り、とにかく出汁が美味いのだと力説している。

たしかに私もそう思う。実は時々、私もお昼に食べている。まあ、ロングセラーもうなずける味だ。

…が、男子中学生じゃあるまいし、夜食に毎晩食べるのはいかがなものか。

結婚当時、逆三角形だった旦那の体型は、見事に「たぬき」に変わった。

今晩もまた、災害備蓄用の「赤」か「緑」が備蓄期間を経ず消費されるのだろう。


ま、いいけどね。

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