第464話 やるしかないか……(6)

「うちも和也の、ストーカーしていたよ」


 志乃は皆に嬉しそうに告げる。


「そう言えば志乃さんもそうだったね?」


 沙紀が志乃へと『あっ、ははは。志乃さんも仲間だ』と言った様子で嬉しそうに尋ねると。

 志乃の奴は急に下を向き、肩を落とし、沈黙を始めるのだ。

 今の今迄本当に元気良く、沙紀の奴とはしゃぎ、楽しんでいたのにさ、急にあいつが沈黙を始めだすから。


「志乃さんどうしたの?」

「志乃さん大丈夫?」


 沙紀と蘭の二人が下を向き、何故か落胆をしている志乃へと近寄り、あいつの肩や背に優しく手を当てつつ尋ねると。


「……うちは和也に言留守を使われて、学校や家に訪ねて行っても会うことすらできなかったから、本当に寂しくて……。何度も〇のうと思って手首を剃刀で切ってみたけれど〇ねなかった……」


 志乃は沙紀や蘭の問いかけに対してあいつは気力すら感じられないぐらいの重たく、小さな声音で嘆き呟いた。


 それも自身の手首の傷を見せながらだ。


 だからこの場がシーン! と静まり返る。


 だけど直ぐにノリの良い牧田が「あっ、ははは」と苦笑いを浮かべながら。


「ね、姉さんは未だに山田の事を恨んでいるのかな?」


 俺の代わりに尋ねてくれた。


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