第460話 やるしかないか……(2)
「うん」
「確かに」
「うちもちょっとびっくりした。あっ、ははは」
蘭と加奈、翔子の奴も俺が高校生活で初めて本気で走る姿を見て驚いたと告げる。
「でしょ? でしょ? 本当に和也早いでしょう?」
俺の昔取った杵柄──逃げ足の速さを久し振りに見た志乃の奴が興奮気味に皆へと尋ね始める。
「……和也、あの足の速さでね、中学校の時に野球部の打順一番セカンドで。区大会でね。本当に活躍したのよ、皆~……。その時の和也って本当にカッコ良くてね……。私あの時にこのひとに一生ついて行くんだと決めたの……」
俺の過去を思い出して志乃がキャキャと喜んでいると。あいつに続き、絵美の奴が自身の胸の前で両手を合わせ握り締めながら、天を仰ぎつつ俺達の過去……。中学校二年生の頃から三年生の頃の事を思い出しつつ感無量に浸れば。
「志乃先輩! 絵美先輩! 本当にあの頃の和君って本当にカッコ良かったですよね……。私まだ小学生だったけれど玄関先で和君が中学校へと行くのを待ち伏せして、声をかけてもらうのを待っていたり。二階の窓から和君が中学校へと行く姿や着替える姿を見ては見惚れてみたり……。美和ちゃんや美智子ちゃんと遊ぶ振りして、かくれんぼしながら和君の部屋へと侵入してベッド潜り。和君の匂いを嗅ぎ堪能したくなるくらい和君はカッコ良かったですよね……」
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