第450話 文武両道ならばこれでしょう? (22)

『ブチュ~!』と『チュ』だ。


 俺が、ではなく。幸の奴が完全にその気になり、我が学園の全校生徒の注目する中で、俺に甘い接吻をしてきた。


 だから「えっ!」、「嘘?」、「マジ?」、「幸ちゃん、大胆~!」、「幸~、ずるい~!」と。


 絵美、欄、翔子、志乃、沙紀の順に驚嘆や絶賛、不満が漏れれば。他の女子生徒達の口からも。


「きゃぁ~!」


「いや~ん」


「幸~」


「澤田先輩大胆~」と声が多々上がり、続ける。


「うぉ~!」


「すげぇ~!」


「凄い~」


「これが生キスか~!?」と女子生徒達に続き、男子生徒達からも多々声が上がるから。


「うぎゃぁあああっ! 澤田~! 山田~! お前等~! 何をしているのだぁ~!?」と、山中の絶叫、不満、諫めも放たれる。


「山田~!」


「和也~!」


「山田先輩~!」


「死ね~!」


「死んでしまえぇ~!」


「山田~! お前なんかぁ~! リレーで山中に負けてしまえ~!」


「そうだぁ~! そうだぁ~!」


「負けろ~!」


「負けてしまえぇ~!」


「山田先輩何かぁ~! 徒競走でぇ~、山中先輩に公衆の面前で負けてぇ~! 大恥をかけばいいんだよ~!」と。


 山中の絶叫交じりの俺と幸への不満、諫めに続くように、我が校のお坊ちゃん育ちの男子生徒諸君からも不満が多々上がるから。


(……ん? あれ、何か可笑しい?)と、俺は男子達の自分への不満を聞き、脳裏で呟きつつ首を傾げれば。


「……ん?」


「あれ?」


 俺に続くように大谷と中田の両名からも言葉が漏れるから。


 その他にも男女問わず首を傾げ声を漏らす者達が多々続出するのだった。



 ◇◇◇


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