第447話 文武両道ならばこれでしょう? (19)

「……ん、山田? 別に走れなくても良いし。山中にお前、負けてもいいんじゃねぇ?」


 でも牧田の口から漏れる言葉はこの通りだ。俺が山中に敗退しても問題は無いのだと告げてくるから。


「バカ、牧田! そう言う訳にはいかないだろう? 俺も幸を山中に渡すつもりはないから」と。


「幸は俺の物だ!」と、自身の頬を膨らませながら牧田へと不満を漏らせば。


「山田~、いくら山中が、お前に徒競走で勝利しても。澤田の奴が山中の許へと行くと思うか?」


 牧田は笑いながら俺に言葉を返せば。


「なぁ、澤田~?」と、俺の近くにまだいる幸へと尋ね始める。


「うん、私、マッキーの言う通りで行かないよ」と俺に告げ。


「彼氏を選ぶ選択は私にあるもの~。ねぇ、マッキー」と、幸は牧田へと話しを振り尋ねる。


「うん、澤田の言う通りで、雄がいくらワンワン吠えても、雌が駄目だと言えば。それでお終いだから」と、牧田はケラケラと笑いながら言葉を返せば。


「和也~」と、俺のことを甘え声音で名指ししながら幸が抱き付いてきた。


 そして「和也って、私の事は余り考えてくれていないと思っていたけれど。ちゃんと他の男に対して焼きもちもしてくれるし。守ってくれるんだね~」と歓喜しながら俺に告げてきた。


 だから俺は「当たり前だ!」と言葉を返せば。




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