第446話 文武両道ならばこれでしょう? (18)

『山田~』


『山田先輩~』


『山中~』


『山中先輩の勝負から』


『逃げるな~!』


『絶対に~! 逃げないでくださいよ~』とでも言いたい顔……。ヘラヘラと冷たい目をしながら笑いつつ、俺のことを見詰めてくるから。


「あっ、ははは」と俺は更に笑い誤魔化すことしかできなくり。山中に対して徒競走、リレーでの勝負は、『嫌です!』、『できません!』、『無理です!』と告げ。


『山中~。学生らしく、勉学で雌雄を決しようではないか! わっ、ははは~!』と言いだせない雰囲気へと陥っているから。


(やばい!)、(不味い!)、(どうしよう?)となる。


 だから俺は、自身の周りを見渡し、確認する行為を辞め。山中へと視線を変え。


「山中わかった。足で勝負だ。あっ、ははは」と最後に作り笑いを浮かべながら、幸を賭けた勝負を了承すれば。


「おっ! 山田! マジで山中と勝負するのか?」


 俺が山中のことを殴らないようにと監視していた牧田が嬉しそうに尋ねてくるから。


「ああ」と俺は力無い声で返事をし。


「この雰囲気の中だと。俺が山中との勝負を嫌だと言えない雰囲気だから、泣く泣く了承した」と、俺は牧田に愚痴を漏らして。


「俺、もう何年も真面に走っていないんだぞ! だから昔のように走れ! と、絵美や志乃、由美の奴に安易に言われても、俺はもう昔のようには走れないからどうするんだよ~」と。


 俺は牧田へと嘆くように告げた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る