第443話 文武両道ならばこれでしょう? (15)

「マジで神宮寺、可愛いよな」


「うん」


「あの抜けているところが何とも堪らん」


「本当に可愛い」


「ほんま、ほんま」


「スタイルだってマジでグッド! あいつ、均等がとれているし、良いよな~」


「うん、うん」


「マジ、山田先輩は良いな~」


「俺、神宮寺先輩みたいな彼女がいれば。もう他にはいらないけれど」と。


 我が校の男子達が、沙紀の的を得ない、俺へのエールではなく、自分への抜けたエールを聞き。あいつの一応は彼氏である俺の顔を一斉に羨望の眼差しで見詰めれば。


「山田ー! お前ー! やっぱり、山中と運動会で、澤田をかけて走れー!」


「ああ、そうだ! そうだ! 大谷の言う通りだ! この女たらしのスケベが! 山中にやられて、澤田を盗られてしまえ!」と。


 沙紀狙いの二人……。中田の奴が鼻息荒い大谷に続いて、俺へと嫉妬心から不満と。今までは陸上部の主将である山中が、俺に運動会でのリレーでの幸をかけた争いはフェアではなく、スポーツマンシップに反して、我が校の校訓にも合わないと。俺の肩を持ってくれて、他に何か良い案がないかを思案してくれていたけれど。


 沙紀が俺のために絵美と志乃、蘭と、運動会当日の弁当作り……。何だか弁当作り合戦になっているのを頑張るから、俺にアイツが甘え声音でエールをくれと言いだすから、大谷と中田も山中の肩を持ち、俺の敵に回るから。

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