第439話 文武両道ならばこれでしょう? (11)
そう、何か、急に加奈の奴、大人しくなったな? と思えば。加奈の奴もチイパイの癖に、俺に期待をしたウルウル目、瞳で、祈るように俺のことをこいつも見詰めてくるから。
俺は加奈や篠田、親衛隊達へと、宗教法人の教祖さまではないのだぞ! と悪態をつきたい衝動に駆られるから。悪態の方をつこうと思う。
だから俺は、自身の周りにいるメンバー達へと、『俺には無理だ!』、『勘弁してくれ~!』と叫び、嘆願をしようと試みれば。
「和也~、頑張れ~! 体育祭の日には、うちも応援にくるから~」と、志乃が俺の気持ちなど考えずに熱い声援をくれるから。
「和也~、頑張って~、愛している~」
「和也~、山中なんかに負けるなぁ~。頑張って~」
「和也~、愛している~! 山中のハゲなんてぇ~、けちょんけちょんにしてしまえ~」と。
沙紀と蘭、翔子……。我が校が誇る美女軍団達も、この俺に熱いエールをくれるから、俺は『どうしよう?』となる前に。今までの高校生活二年間を自身の頭をマルガリータして、青春を棒に振り、部活に勤しんだ山中の奴が、何だか可哀想だと思い始めた。
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