第436話 文武両道ならばこれでしょう? (8)
「へぇ~」
「そうなんだ」と蘭と翔子が頷けば。
「私、和也から聞いたことあるけれど。冗談ばかりだと思っていたよ」
沙紀がケラケラ笑いながら絵美へと言葉を返せば。
「うち、それ知らないから見たかった」
志乃はこの頃は俺と別れ、心療内科で治療中だったから、俺のプチ武勇伝、活躍を見ていない。
だからあいつは残念、無念……。自身の肩を落とし、落胆をし、下を向く。
「絵美先輩~? 区大会の時の和君って丸刈リータだったけれど。結構カッコ良かったよね?」
俺の黒い歴史……。そう、中坊の時に絵美に言われ、ほとんど強制的に戻された野球部なのだが。俺が野球部を辞めた最大の原因は、マル〇メ頭にするのが嫌で、幽霊部員になったのに。
俺がガキの頃から好きだった絵美とお付き合いをするための条件の中に、自身の頭を鍛え、医学部を目指すのと。
今までだらけている俺の心と、運動不足な身体を鍛え直すために部活に戻るのが条件だったから。俺は泣く泣く、リーゼントを辞めて坊主したと言った黒歴史がある。
それを由美が嬉しそうに、絵美へと尋ねるから。あいつ、絵美は、過去を思い出し、ノスタルジックに浸れば。自身の頬を桜色に染め『ポッ!』だよ。あいつは嬉しそうな顔をしながら「うん」と頷き下を向き、お淑やかな素振りをバカ達に一斉に魅せるから。
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