第423話 高校生らしい挑戦? (11)

「和也~!」


 バチン! と、俺の頬を殴るのではない。加奈の奴はね。俺が本気で鼻息荒くしている時はあいつ……。ガブリ! ガブリなのだよ!


 俺の聞き腕を噛みつきやがるから。


「加奈~、痛い! 痛い! 噛むなぁ~!」と。


 俺は「離せ~! 離せ~!」とピラニヤ! メスの野犬化している加奈に絶叫交じりで、自身の腕を振り、「離れろ!」と吠えれば! 吠えるほど!


 あいつ! 加奈の小さな口の中にある八重歯が俺の腕に食い込むから。「痛い! 痛い!」と俺は声を大にして叫べば。


「和也~、未だ山中と喧嘩をする気~?」と篠田が、俺の前から抱きつきつつ尋ねてくるから。


「はぁ~! 篠田~! 俺から喧嘩を売った訳じゃないぞ~! お前だって知っているだろう? 山中の奴が急に俺へと訳のわからないことを告げ、喧嘩を売ってきたのを篠田! お前だって知っているだろう~!」と。


 俺がギャギャ! とゴ〇ラになって吠え、叫べば。


 その後は、俺の口からまた「うぎゃ、あああっ!」と。


「痛ぇ~! 痛ぇ~、よ~。マジで痛ぇ~」と、俺の絶叫──! そして悲しい声音が漏れるから。


「ちょ、ちょっと幸……。いくらなんでも、山田の頬を齧るのは、俺はむごいぞ、と思う?」と。


 俺を取り押さえて牧田が、にへらと笑いつつ幸へと諫めれば。


「えっ! でも私和也にけっこう色々なところを噛まれるよ」と。


 幸の奴がすらりと牧田に告げれば。



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