第378話 柵の向こう側から! (12)

 だから男子達が一斉に!


 それも?


 相変わらず俺に愛想よく手を振り、自分アピールをしながら走る、ではなく。


「あっ、ははは」と。


 どう他人が傍から見ても、歩いているようにか見えない、沙紀の奴を男子生徒達が、アイツのことを一斉に指さしつつ。


「えぇ、えええっ!」


「嘘~!?」


「本当かぁあああっ!?」


「本当なのか、牧田?」


「冗談だろう、牧田~?」


「冗談だと言ってくれぇえええっ! 牧田~!?」


「新宮寺は未だ清い乙女だと言ってくれ、牧田~、頼むよ~!」


「俺達の、あの麗しい、新宮寺のイメージを変えないでくれぇえええっ!」


「お願いだぁあああっ! 牧田~!」


「新宮寺も、クソ山田~!」


「ゲスな山田の毒牙にかかった、麗しい処女の一人だと。俺達が落胆をするような事は言わないでくれ~、お願いだぁ~、頼むよ~」と。


 沙紀達が教室内やマック……。


 その他のカフェ等で、あれがどうとか、こうとかと、雑談をするのは有名な話しだから。


 それ! その会話に! 牧田の奴もよく交じり、ケラケラ笑いながら。


『お前等、阿保か~?』、


『お前等、本当にすきもんだな~』と。


 牧田が沙紀達を嘲笑っているのは俺もよく知ることだから。


 男子達の中で牧田から俺に視線を変え。


「山田?」


「和也?」


「山田先輩~?」と。


 俺に尋ねてこようとも。


 牧田が言っていることは嘘偽りなく。


 見よう、見方によると?


 男子生徒達全員に天使の笑み! 女神の笑みを浮かべているようにも見える。


 沙紀本人だから。


 俺が『牧田が言っていることは本当で、沙紀達が犯人だぞ!』と告げようとしたら。



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