第375話 柵の向こう側から! (10)

 中田が牧田に叫び、尋ねると。


 あいつは! 牧田は!


 良い奴だけれど。


 基本意地が悪いからな。


 ニヤリだよ!


 自身の口の端をニヤリと気味悪く吊り上げ、いやらしく笑うと。


「穴〇らけだよ。穴〇らけ……。新宮寺も穴〇らけだよ。上から下まで……。清い所何て一つも残っていないぞ。お前等~。だから諦めろ~! 新宮寺はぁ~、山田のダ〇ちゃんだからなぁ~」と。


 牧田が可笑しなことを大谷や中田に言うものだから。


 密かに沙紀のことを狙っているらしい二人は一瞬で顔色を変え。


「じょ、冗談だろう、牧田?」


「マ、マッキ~、嘘だよなぁ?」と。


 二人が上擦った声音で尋ね始めると。


 男子生徒達が一斉に騒めきだし、喧騒……。


「おい、おいマジか?」


「マジみたいだな?」


「新宮寺もとうとう山田の毒牙に堕ちたみたいだな?」


「うん」と寂しそうな頷きが、俺の耳へと聞こえると。


「あいつ!」


「山田!」


「家の学校の美女を食べれば良いんだ?」と。


 俺のことを涙目で……。


 そう、憎悪を含んだ目で睨み付ける輩まででてきたから。


(ちょ、ちょい待てよ。お前等……)と。


 俺は思いつつ。


『牧田~! こいつらを余り刺激するな、大変なことになる』、


『この場で、男子生徒の暴動が起きたらどうするのだ?』、


『童貞をこれ以上刺激するな!』と。


 牧田に告げようとすれば。


「冗談な訳ないだろう。お前等~!」と。


 牧田はケラケラ笑いながら大谷と中田に告げ。


「あの、純情そうに可愛く、旦那に手を振って歩く、新宮寺だけどさ。もう、あんな事やこんな事。他人に言えられないような奉仕を山田にしているんだよ。知らなったか、お前等~? わっ、ははは」と。


 牧田が更に大笑いを始めると。



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