第374話 柵の向こう側から! (9)

「山田~、どうなんだ~?」と。


 中田が俺に大きな声で尋ねてきたから。


「知るかぁ~! お前等の御想像に任せる~!」と。


 俺が大きな声で、気だるげに中田へと言葉を返せば。


「知らないはないだろう、山田~? ちゃんと言えよ~、山田~! 俺達に説明をしろ~!」


 今度は大谷が叫び、俺に尋ねてくるから。


 俺はもう知らねぇ~、こいつら、相手にできるかぁ~!


 プンプン! と、自身の頬を膨らませ思えばね。


「お~い! 大谷と中田~!」


 俺が余りに二人……。


 大谷と中田のコンビがうざい、煩いから、そっぽを向き、素知らぬふり、無視を始めだすと。


 牧田の奴が声を大にして二人のことを呼び始めるから。


「何だ~、牧田~?」


「マッキ~、どうした?」と。


 大谷と中田のコンビが、怪訝な表情で牧田へと言葉を返せば。


「お前等二人も~、山田に対してしつこいぞ~」と。


 牧田は大谷と中田に叫び、諫めれば。


「新宮寺の、あの無邪気な様子……。山田に手を振りながら、御機嫌取りをしつつ走る、可憐な様子を見れば分る! 理解出来るだろうがぁ~! 山田に聞かなくても~!」と。


 牧田は更に二人へと叫び、諫める。


「はぁ~、牧田~! 分らないから、聞いているんだぞ~! 聞いて~!」


「そうだぁ~、マッキ~! 俺も大田にも山田と新宮寺は別れたと思っていたから聞いているんだぞ~! 聞いてぇ~!」と。


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