第373話 柵の向こう側から! (8)

「和也~! 和也ぁ~!」と。


 何処かのおバカさん……。


 そう、俺の出戻りの彼女……。


 俺に少しでも可愛がってもらおうと努力?


 そう、元々アイツは天然なところ……。


 まあ、その辺りは、志乃や由美もそんなところがあるので、よく似たタイプの三人だけれど。


 沙紀の場合は以前よりも、と言うか?


 俺に対して『自分、可愛いでしょう~?』、アピールが更に強くなった気がする沙紀の奴が天使の笑みを浮かべつつ。


 俺を名指し、手を振り走る?


 いや、アイツは阿保だから歩いているのかな、多分?


 まあ、そんな様子で、自己アピールを俺にしながら、前を見ないで走るものだから。


「おい! 沙紀! 前を向いて走れ! こけるぞ!」と。


 俺が声を大にして叫べば。


「マジで新宮寺可愛いよな」


「ああ、マジで可愛い」


「新宮寺が家の学園では一番だろうな」


「うん、多分、そうだと思う」と。


 いまだに根強い、信者……。


 アイツ、沙紀のことを推す奴は結構いるから。


 沙紀のあの無邪気な様子……。


 彼氏の俺が見ても。


(う~ん、可愛い)と。


(う~ん、寝てみたい)と、呻ってしまいそうなアイツの文句なし、バランスの取れたボディースタイルって、歓喜しながら褒め称えたいところではあるのだが。


 志乃も絵美も翔子も足が長くてスタイルがいいからな、沙紀だけ褒める訳にはいかないしなぁ、と。


 俺が思っていると。



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