第367話 柵の向こう側から! (2)
「何かね、君達?」
牧田は相変わらず政治家や教祖さまのように振る舞いつつ言葉を返せば。
「あの、柵越しに見える、聖女の可憐な乙女達のような女子達が体育祭を観戦にくるのか?」と。
信者が教祖さまに救いを求めるような目、表情……。
そして声音で、牧田へと問う声が、この場にいる者達の耳へと聞こえれば。
「そうだぁ~。お前達にも見えるだろう? あの麗しい少女達……。そう、家の学園のイモのようなダサい制服を着た女子達とは違う。あの、如何にもお嬢様らしい。可憐な制服姿を……。あのような麗しい少女達が体育祭に沢山くるぞ……。まあ、ヤンキーや不良の女子達も結構くるけれど。皆、将来の事……。少しでも将来性がある生真面目な男達を選り好みしにくるのだから。お前等ぁ~! 童貞を無くす日は近いぞ~! お前達~!」と。
牧田が余りにも、大きな声──!
グランド!
そう、只今、選手リレーを決めるために走っている女子達に聞こえるように。
牧田はついついと言ってしまって。
「牧田~!」
「あんたぁ~!」と。
女子達の間から呻り声が上がれば。
「うちらがイモみたいで悪かったわね~!」
「そんないみたいな女達の御機嫌窺いをしているのは誰よ?」
「いつも、めぐみちゃん、可愛いと。牧田~、あんた言っているじゃない~?」
「そうよ! そうよ!」
「やらしてくれって! いつも泣きついてくるのは何処の御馬鹿さんかしら?」
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