第352話 来年の春には県外へと(6)
「和也も、そんな娘から電話やL〇NEがきたら、できるかも? やれるかも? ッて分るの?」
加奈が俺に尋ねてきたから。
「うん、何となくだけれど。俺でもわかるかな?」
俺はこれ以上の言葉を口に出さなければよい、言わなければよいのにさ。
ついついと調子に乗って言ってしまうんだよね。
「沙紀が元カレと別れて、俺に何度もL〇NEを送ってきたけれど。その内容を見て。沙紀と直ぐにできるかも? と、俺は思ったぞ」と、呟けば。
「和也、あんな事を言っているけれど。沙紀、そうなの?」
翔子の奴が直ぐに沙紀へと問えば。
「う、うん……。和也の言う通りで、あれで許してもらえないかな? と、現実に思っていたよ。だから和也の家にいってよい? 二人きりで話しがしたいと、やたらとL〇NEを送ったような気もするけれど。ごめんなさい」と。
沙紀が俺に謝るから。
「沙紀、別に俺に謝らなくてもいいから。俺、もう別に怒っていないから」
俺は沙紀に優しく微笑みかけながら無言で。
『沙紀、気にするな、愛しているぞ!』と。
アイコンタクトをすれば。
「沙紀ちゃん、別に和也に謝らなくていいけぇ」と。
志乃が急に重たい声音で呟くから。
「ん? 何か、遭ったの、志乃さん?」
苦笑いを浮かべつつ、早く、この話しが終わらないかな? と言った顔をしていた沙紀が首を傾げ、志乃へと問えば。
「和也ね、うちが泣きながら、居留守を使う、このひとの事を探しちょぉる最中に、相談女の相談に乗り、やっちょぉるんよ。どう思う?」
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