第349話 来年の春には県外へと(3)

「翔子、それって? 和也と付き合っている最中に浮気をするって事?」


 蘭が首を傾げると。


「うぅん、そんな事はしないよ。向こうで仮に好いと思う人ができたら、そいつにちゃんと言うしね。遠距離恋愛の彼氏がいるから。そのひとと別れるようになるけれど。ちゃんと責任をとってくれるの? とは尋ねるよ。向こうがそれは無理だと言ったら付き合う事もないから」と。


 翔子が蘭に説明をすれば。


「それって普通じゃない? 何か可笑し事があるの?」


 翔子と蘭の会話を聞き、今度は志乃が首を傾げると。


「ん? ああ、志乃さん。ここまでは普通の話しでね。ここからが少し変と言うか? 変わっていると言うか?」と。


 翔子が「あっ、ははは」笑い誤魔化しつつ、志乃や、その他のメンバー達へとまた、自身の口を開き、説明を始め出す。


「仮にうちが、その男と付き合うじゃない?」と告げると。


「うん」と、みなが頷けば。


「そして、その彼とそのまま長く付き合うかも知れんし? 直ぐに別れるかも知れんじゃない?」と。


 にへらと笑いながらみなへと告げると。


「うん」


「まあ」


「そうだよね」


「うん、うん」と。


 みんなは色々な反応を示しながら翔子へと言葉を返せば。


「……でッ、ここでうちもフリーになれば多分また寂しいから彼氏を作ると思うの? もう、それこそ? 一人でいるのが寂しくて仕方がないから誰構わず彼氏を作る、ならば良いけれど。お酒に酔った勢いとか! その時のノリとかで、好きでもない男と一晩を安易に共にして、寂しさを紛らわすような安易な女……。使い勝手の良い女に変貌……」と。


 翔子が苦笑いを浮かべつつ呟けば。


「ああ、要するに翔子は、安っぽい女。ビッチやセフレに変貌するのが嫌だから。山田の許に出戻り契約をしていると言う事なんだな?」


 牧田が翔子の言葉に割って入ると。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る