第341話 元ヤンの御姉様は学生らしい(2)

「志乃先輩、和也って昔からこぅなんですか?」と。


 幸が志乃へと尋ねると同時に。


「和也ぁ~。あんたぁ~。ちょっと、志乃さんに酷いよ~。反省せんにゃぁ~」と。


 翔子の奴が、机の斜め前──反対から、俺の頬を摘まみ、掴み、引っ張り、呻りながら回すから。


「しょ、翔子~! ま、マジで痛いって。マジでぇ……。堪忍してくれお願いじゃけぇ」と。


 俺が冗談交じりで、「許してたもれ。翔子」と嘆願をしたら。


 翔子の奴が指を離した。


 だから「痛ぇなぁ~」と不満を漏らせば。


「あっ、ははは」と。


 翔子が不貞腐れた俺の顔を見て笑うから。


「ふん!」と鼻息立てて、余所見──!


 知らん振りをおこなうと。


「翔子ちゃん、だっけぇ?」


 志乃が翔子を呼べば。


「はい、志乃さん、何か?」と。


 翔子は小首を傾げる。


「翔子ちゃん、さっきも見ていたんじゃ、けれど。和也の頭をポンポンと気軽に叩いとったりしょぅるけれど。和也の事が怖くないの?」


 少し困惑している翔子に志乃が尋ねると。


「う~ん、和也が本気で怒ったら怖いと思いますよ。でも和也、そこまで本気で怒らんし。うちが和也の頬を何度か殴った事あるんですけれど。私も和也に殴られた事が何回かあるんで……。ねぇ、和也~?」と。


 志乃の問いかけに対して翔子の奴は、最後に笑い誤魔化しながら話を振ってきたので。


「うん」と俺は素直に頷くと。


「えぇ、えええっ! そうなん?」


「そうなの?」と。


 志乃と蘭が驚愕しながら俺と翔子を交互に見ながら尋ねる。


「うん」


「そう」と。


 俺と翔子が普通に悩むこともなく頷くと。


「あんたら、夫婦みたいじゃねぇ?」と。


 志乃が俺達二人に尋ねてくるから。


「えっ! そうかな?」と。


 俺は首を傾げるのだが。


 翔子の奴は、「そ、そうですかね」と大変に嬉しそうにしているから。




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