第339話 御姉様は、こう言うのに憧れあるみたい? (8)

 沙紀の言葉に牧田が反応し、呟いたのを俺も聞けば。


 よく考えると、こいつ! 志乃に対して俺は、『今、お前は、何をしているのだ?』と。


『何処かでバイトしているのか?』、


『夜の仕事勤めをしているのか?』、


 それとも、牧田の言う通りで、


『自分家で家事手伝い! 花嫁修業!』と言う奴でもしているのか?


 俺自身も気になるから。


「志乃、お前。今何の仕事をしているんじゃ?」と尋ねると。


「……ん? うち?」と。


 志乃の奴が俺に言葉を返してきた。


 だから俺は苦笑いを浮かべつつ。


「今、俺は確か、志乃? お前に聞いたはずだぞ!? 今何の仕事をしているのか? だって」と。


 こいつ! 志乃の奴は俺に喧嘩を……と、言うか?


 そういえば、こいつ! 昔から、少しボケが入るタイプの女だったことを今、思い出し。


 俺は自身の顔を引き攣らせ、にへらと笑い誤魔化しながら。


「何をしていん、だ! お前?」と。


 俺が志乃へと再度尋ねると。


「えっ! うち学生だよ! さっき和也に言って怒られたじゃない、うち。合コンに行ったけぇ、ッて。だから今も和也に言ぅと。怒られるから素知らぬ振りをしちょぉただけじゃけぇ」と。


 志乃は俺に苦笑いを浮かべつつ告げると。


「あっ! そう言えば、最初に和也に言っていたわよね。合コンの飲み会で、和也の先輩に会ったって」と。


 蘭がフムフムと言葉を漏らせば。


「うん」と加奈が頷き。


「言っちょぉた! 言っちょぉた!」


「はい」と。


 翔子と由美の奴も納得するから。


「そう言われてみれば、合コンの飲み会で山口君達と会ったって、お前、言っていたな」と。


 俺が志乃へと告げれば。


「うん」と志乃の奴は、俺の真横で頷いた。


「ヤンキーのお姉さんは、何の学校へと行かれているのですか?」


 志乃の頷きを俺の横──。


 志乃の反対側で見ていた沙紀が、また首を傾げると。


「えっ! 沙紀ちゃんだっけぇ?」


「はい」


「うちは理・美容の学校へと通ちょぉるんよ」と。


 志乃の奴が、俺が驚愕することを告げるから。


 俺の口から「マジかぁ~?」、「うそじゃろぅ~?」と、絶叫交じりの声が吐かれるから。


 俺達はまたマックの二階で注目を浴びてしまう。



 ◇◇◇

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