第338話 御姉様は、こう言うのに憧れあるみたい? (7)

「おい、志乃?」


「何、和也?」


「お前さぁ?」


「うん」


「ちょっとベタベタし過ぎ。時と場所を考えろ」


 俺とのキスが終わっても、数年振りに逢う俺との壁を埋めるように志乃の奴が。


 俺とのキスが終えても、あいつは自身の二の腕を絡め、甘えてくるから。


 俺は他人の目があるから辞めるようにと告げるのだが。


「いいじゃん、別に和也、甘えても。別に減るもんでもないんだし。彼女ならば本通のど真ん中でキスをしても文句を言わないんじゃろぅ?」と。


「うちは本当に、こんな学生らしいデートに憧れちょぉったから、嬉しいじゃけぇ。もう少し甘えてもえぇ、じゃん。和也……」


 志乃がクスクスと笑いつつ。


 そう、俺のことを揶揄するように尋ねてきた。


「ん? まあ、そうだけれど」と。


 俺は志乃へと、不満のある顔と声音で言葉を返すと。


 俺は、自身の周り。


 そう、志乃以外のメンバー達の様子を窺始める。


 他の彼女達が、御機嫌斜めではないかを。


 俺は恐る恐ると見ながら様子を窺えば。


 みないつもの調子で、二人の世界に対して素知らぬ振りをしつつ、自分達の好きなことを。


 そう、近くの者と会話やスマートフォンで動画を視聴していたりしているのと。


 志乃は俺の左に座っている訳だから。


 俺の右側は空いている訳だから。


 みんなが仲良く順番で俺の横に着ては甘えているから。


 俺はおもいっきり両手に花と言った感じなのだが。


 これも、俺としてはいつものことなので、志乃以外の者達が不満をあらわにしてなければ。


 まあ、別にいいか? と思っていると。


「お姉さんは、今何をされているのですか?」


 沙紀が自身の首を傾げつつ、志乃へと尋ねると。


「お姉さんは無職じゃねぇの? 俺等が学校帰りの時間に、あの辺りに車停めて、ウロウロをしているところを見ると?」



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