第331話 後輩ちゃんは不満のようです(2)
「いや、皆、何か、誤解しているけれど。私は今ヤンキーじゃないから」と。
志乃がにへらと笑いつつ、加奈に説明をすれば。
「でもお姉さん、凄い、派手なカラーで車高も低く、ブォ~、ブォ~と、マフラーから凄い音がする車に乗っているじゃないですか?」
「うん、翔子の言う通りです。お姉さん」と。
最後に蘭が頷けば。
「でも、蘭? 家のパパが言っていたけれど。ああ言った、車高が低く、マフラーの煩い車は、走り屋だって、家のママに言っていたよ」と。
沙紀が首を傾げつつ、蘭へと告げると。
蘭は沙紀の幼馴染だから。
沙紀の問いかけに対して苦笑いを浮かべながら。
「沙紀~、あんた家のオジサンはヤンキー上がりじゃん! それも地元でも有名な元ヤンのオジサンじゃん! そんなオジサンが車高が低く、マフラーの煩い。スポーツタイプでもない車を走り屋と言っても説得力ないし」と、告げると。
「うちが乗っていたジャパンは、今のGTRの何代か前の車だよ!」
志乃が自身の括れた腰──。
俺が先ほどから、(こいつモデル並みにスタイルいいな……)と。
(絵美と翔子と比べてどちらがいいのだろうか?)と。
俺が思う、自身の括れた腰に左手を当てつつ。
右手で蘭を指さしながら告げると。
「そうなの、和也?」
蘭が驚愕しながら俺に問うから。
「うん」と、俺は拍子抜けと言うか?
いつまでもここ……。
天下の往来で、大きな声で立ち話をするのも、傍から見て余り印象がよくないなぁと、思っていると。
「あっ! それはそうと?」
志乃が呟くから。
「ん? どうしたと?」
俺が志乃に尋ねると。
「和也って、そんなに淡白だったけぇ? 中坊の頃はもっとガツガツした。甘えん坊の、良い子ちゃんじゃなかった?」
志乃の奴が天下の往来で、ケラケラと笑いながら大きな声でくだらないことを告げるから。
また歩行者達が立ち止まり。
こちらを見詰め始めるから。
「わっ、はははっ。マジでこのお姉さん面白い」と。
牧田はまた腹を抱えて笑うし。
志乃の奴もノリよく。
「そう、そうかなぁ~? うち照れるなぁ~」と。
ケラケラと笑い始めるから。
「お前等なぁ~」と。
俺が呆れた声を漏らせば。
「和也、マック行かないの?」と。
ここでやっと幸の奴が可愛く首を傾げるから。
まだ、ブゥブゥと不満を漏らしている由美と幸の背を押し。
「早く、マックかロ〇テリアにいこう」と。
俺はみなを急かすように呟き、歩き始める。
◇◇◇
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