第330話 後輩ちゃんは不満のようです(1)

「いいえ、していませんと、言うか? 和君勉強ばかりしているから。甘えさせてはくれるけれど。偶にしかしてくれませんね……。それに部屋には私だけではなくて絵美さんや山本先輩がいることも多いいですし。今頃は幸先輩も良く来ているし。和君のお母さんの夕飯の手伝いとかしているから。私の位置が幸先輩のお陰で危ういと言うか……。あっ、ははは」と。


 由美の奴は、自身の掌を頭に乗せ笑い誤魔化し始めるから。


「そうなんだ、彼女?」


「はい、そうです」と。


 由美が志乃の問いかけに応えると。


「山田ファミリー弱肉強食。生存競争厳しいな」、


「あっ、ははは」と。


 牧田がケラケラ笑い始めるから。


「牧田先輩煩い! 少し黙っていてくれませんか」


 由美が怪訝な表情で、牧田へと不満を 漏らすから。


「ごめんね、由美ちゃん」


 牧田は肩を竦めながら由美へと謝罪──。


 そんな牧田の様子をフン! フン! と由美が鼻息荒く睨むと。


「山本さんって安佐北区だし、幸は東区だよね? 夜遅く、和也家から帰宅をしているの?」


 翔子が加奈と幸へと問えば。


「私はお母さんか、お父さんが迎えにきてくれるか、時間が早い時は和也が家まで自転車で送っていってくれる」


「そうなんだ?」


「うん」


「山本さんの家って、そんなに近いの?」


 加奈が翔子の言葉に対して頷くと。


 沙紀の奴が首を傾げる。


 和也の学区の町から橋を渡って少し行けば私の住んで居る町……」


「そうなんだ」


「うん、そう。神宮司さん……」


 加奈が沙紀へと説明をすれば。


「綾〇レイみたいな話し方をする彼女って、高陽町なの?」


 志乃の奴が加奈へと尋ねると。


「ええ、そうです。ヤンキーのお姉さん」と。


 加奈も由美と同じように、志乃のことをヤンキー姉ちゃんと呼ぶから。



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