第326話 彼女達は不満? (6)

「加奈! いい加減にしろ! 誰がこんなところでしろ! していいと言った?」と。


 俺は加奈に、荒々しく告げると。


 加奈の小さな頭にガツン! と。


 強くじゃなく、軽く拳骨を入れると。


「和也、痛い」と。


 加奈は、自身の両手で頭を押さえつつ、不満を漏らすから。


「加奈が公衆の面前で可笑しなことをしようとするからだろうが!」と。


 俺は加奈に不満を漏らせば。


 加奈は無感情だが、自身の頬を膨らませて、


「あれって、可笑しな事なの、和也?」


 と、尋ねてくるから。


 こいつに、これ以上可笑しなことだと告げると。


 本当に可笑しなことだと思い込み。


 冗談ではなくなりそうだから。


「いや、別に可笑しなことではないけれど。今はする時ではないだろう、加奈!」と罵声を吐き。


「加奈は、そんなに俺の大事な物を世に曝させ、自分以外の奴に見せて、自慢したいのか? 『これが私の彼氏の大事な物なの~♪ ねぇ、みんな、見てよ~♪ ッて、感じでさ?」


 俺が今にも泣き出しそうな声音で加奈へと尋ねる。


「うぅ~ん、どうだろう?」


 加奈が、自身のシャープな顎に指を当て、天を仰ぎつつ思案を始めると。


「どうだろう?」


「どうだろうね?」


「うちは嫌かな」と。


 蘭と沙紀、翔子の奴も、加奈と同じポーズで、天を仰ぎつつ思案を始めるから。


「マジでお前等~、本当に可笑しいよなぁ~」


 牧田の奴が、自身の腹を抱え、押さえつつ、笑い始めるから。


「牧田、お前なぁ……」


 俺は相変わらず泣きそうな声音で、今度は牧田へと不満を漏らせば。


「もう、和也~、マッキーの事は良いから。今度は私の番だよ」と。


 幸が不満を漏らしつつ。


 チュ~だ!


 チュ、チュと。


 幸の可愛らしい容姿の通りに。


 チュチュとキスをしてきた幸……。


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